テレワークが定着しないのはなぜ?今、確かめたい制度とルール
サイボウズ チームワーク総研 コンサルタントの志釜直樹です。
先日、チームワーク総研 コンサルタント 新島泰久也の記事、テレワークを「緊急対応」で終わらせるか?それとも「組織変革」につなげるか?を掲載しました。
テレワークの推進を組織変革の機会ととらえ、理想を設定し、社員一人一人の想いに寄り添いつつ、議論を重ねることによって、真に危機に強い組織、柔軟性のある組織づくりを行うという話です。
テレワークが定着しない理由は制度とルールの整備?
テレワークを推進していく中で、思うように社内で定着していないとお困りの方もいらっしゃいませんか? テレワークが定着しない理由として、コミュニケーション、マネジメントの問題はよく耳にしますが、以下のような制度、ルールに起因するものもあると考えられます。
- PCの持ち出しのルールが曖昧なため、テレワークを行うのに不安がある。
- テレワークに関して補助する制度がなく、自宅で仕事する環境や通信環境を整えることができない。
- テレワークをする時の情報共有のルールがないため、ほかの人の状況がわからず、チームで仕事がやりにくい。
2020年7月にサイボウズOfficeユーザー向けに実施したテレワーク実施状況調査によれば、テレワーク未導入企業に対する「テレワーク導入の障壁になるものは何ですか」という質問に対して、上位2つの回答が「テレワークに関するルールの設定や社員教育が必要」、次いで「就業規則、労務管理の整備が必要」でした。
この様にテレワーク導入の障壁として制度、ルールに起因するものがあり、これらの要素がテレワークの定着にも影響しているかもしれません。
テレワークに関するサイボウズの制度とルール
テレワークの推進に必要な制度やルールとはどんなものがあるのでしょうか? そこで、サイボウズでの事例を交えてお伝えします。
サイボウズの制度やルールには、全社的に遵守することを求められる就業規則や労務における制度から、部内やグループ内での慣例として、そこまで拘束力の強くないルールまで、さまざまなレベルのものがあります。
テレワーク制度・指針を定めておく
全社的に決められている制度に、「リモートワークガイドライン」があります。
サイボウズでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、「原則在宅勤務」となる前から、テレワークが活発に行われていました。リモートワークガイドラインの初版ができたのは2017年です。
リモートワークガイドラインには以下の事が記載されています。
リモートワークガイドラインの適用範囲
- リモートワークを行う場所やどの様な仕事がリモートワークに適用されるかなど
やめてほしいリモートワークの実施方法
- 同居家族へ会社の秘密情報を共有しないなど
取ってほしい対策
- 「一人になれるスペースを確保する」、「一定以上の距離を取る」など
よくある質問
- リモートワークする上で必要な手続き
- セキュリティ勉強会の受講、端末を外部から接続するための申請など
リモートワークガイドラインを読むことで、従業員はテレワークを実施する上での指針を把握することができ、不安を取り除いた状態でテレワークを行うことができます。
また、ガイドラインを作成するだけではなく、イラストを入れて、わかりやすくする、グループウェア上のすぐに参照できる場所に配置するなどの工夫もしています。
状況に応じてテレワークに関する制度を柔軟に見直す
労務面では、2020年4月に原則在宅勤務となった状況を踏まえ、通勤手当の定額支給を停止し、通勤交通費は実費支給へ変更となりました。また、在宅勤務に必要な経費補助を一律で支給しています。
前例のない不測の事態に、変化を恐れず、実態に即した形で柔軟に制度を変えることが重要です。
部内・チーム内でも必要に応じてテレワーク上のルールを作る
部内・チーム内のルールについて、わたしがチームワーク総研との兼務しているシステムコンサルティング本部では、社内で利用しているGaroonの「スケジュール登録」に以下のようなルールを設定しています。
有給休暇の登録
有給休暇の登録は期間予定にして、所属する部、グループのメンバー、システムコンサルティング本部の組織を参加者に加えて登録することが本部内でのルールとなっています。
始業・終業時間の変更
サイボウズではフレックスタイム制を採用しており、各自の標準の勤務時間はグループウェア上で宣言しています。しかし、日によって始業・終業時間を変更できるため、お互いが何時から何時まで働いているのかが確認しづらい場合があります。
わたしが所属するグループでは、この問題を解決するために、始業・終業時間に変更がある場合は個人の予定に登録するルールとしています。
これらのルールにより、テレワーク中においてもチームのメンバーが、いつ、どこで、どのように仕事を行っているかを把握することができます。
まとめ
テレワークを定着させるためにはツール、インフラの整備に加えて、制度やルールの整備も併せて行うことで、従業員にとって、迷いや不安がない状態でテレワークを実施できるようになります。
テレワーク定着・活用に向けて、やるべきことは多くありますが、チームで課題を共有し、克服していく事で新しい働き方や組織の形が見えてくるはずです。
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著者プロフィール
志釜 直樹
チームワーク総研 コンサルタント。システムコンサルティング本部においてマネージャーを経て現職。組織のチームワークをシステム面から支援する活動を行っています。
中小企業診断士、PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)。