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組織変革におけるITシステム/ツールの役割とは

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サイボウズ チームワーク総研 コンサルタントの志釜直樹です。

皆さんは「ITシステム」や「ITツール」という言葉に、何を思い浮かべますか?

例えば、営業支援システムや経費精算システムの様な、業務を改善・効率化するためだけに使うものと思っている方が多いのではないでしょうか。

今回は、ITシステムやITツールが、組織変革にも役立つことについてお伝えします。

ITシステム/ツールの役割

一般的に、IT化を進める目的は、こんな感じではないでしょうか。

  • あらかじめ決まっている処理を自動化することによって人による作業を減らす
  • 情報を共有するための仕組みを構築して、社内のコミュニケーションを円滑にする
  • 売上情報や顧客情報など、蓄積されたデータを利用して今後の企業活動の改善に活用する
  • 遠隔地からでも会社の環境に安全に接続して、柔軟な労働環境を実現する

どれもITシステム/ツール導入の目的としては大切であり、業務効率化に大変役立ちます。

これと同じ様に組織変革の現場でも、有効に活用できると言う事を具体的に見ていきます。

組織変革におけるITシステム/ツールの使い方

それでは、組織変革において、ITシステム/ツールをどの様に活用することができるでしょうか?

ハーバード・ビジネススクールの名誉教授である、ジョン・P・コッターは、組織変革を加速させるための8段階のプロセスを提唱しています。

1.危機感を高める
2.コア・グループを作る(変革を推進するチームを構築する)
3.ビジョンを掲げ、イニシアチブを決める
4.志願者を増やす(ビジョンを伝え、仲間を増やす)
5.障害物を取り除く(変革を阻む障害を取り除く)
6.早めに成果を上げて祝う(短期的な成果を実現する)
7.加速を維持する(更なる変革を推進する)
8.変革を体質化する(変革を根付かせる)

参考文献:ジョン・P・コッター, 『実行する組織』, (ダイヤモンド社, 2015)

これらのプロセスにおいて、ITシステム/ツールの中では例えばグループウェアが親和性が高く、こんな感じで活用することができます。

2.コア・グループを作る(変革を推進するチームを構築する)
3.ビジョンを掲げ、イニシアチブを決める
チームの運営やビジョン作成の議論、コミュニケーションをグループウェア上で行い、リモート、非同期でも運用可能にする。

1.危機意感を高める
4.志願者を増やす(ビジョンを伝え、仲間を増やす)
6.早めに成果を上げて祝う(短期的な成果を実現する)
⇒グループウェアでの情報共有を徹底し、変革推進チームでなくても、組織変革の状況を把握可能にする。

5.障害物を取り除く(変革を阻む障害を取り除く)
⇒変革推進チームメンバーやチーム以外の従業員からの意見やアイディアを掲示板やアプリケーションで気軽に登録、共有可能にし、組織変革へ関わりやすい環境にする。

7.加速を維持する(更なる変革を推進する)
8.変革を体質化する(変革を根付かせる)
⇒変革した際の情報をデータとして蓄積し、誰でもどこからでも参照できるようにして、更なる変革や変革の定着に活かせるようにする。

ジョン・P・コッターが提唱する組織変革の8つのプロセスを実践するのは、相応の時間が必要かもしれません。けれども、作成したビジョンや意識を共有したり、課題を議論したりするスペースを、ITシステム/ツールを使って作ること自体は、それほど高度な技術を要するものでもなく、明日からでも実施することができる事だと思います。

貴社が組織変革を進めようとした場合、社内にあるどのITシステム/ツールが活用できるかを考えてみると良いかもしれません。

ITシステム/ツールを使う上でのポイント

組織変革でITシステム/ツールを使う際にポイントとなるのは次の3つです。

  • 従業員が必要な情報を把握できるように情報共有を徹底すること
  • 従業員が意見やアイディアを出しやすい環境をつくること
  • ITシステム/ツール導入自体を目的化しないこと

サイボウズ社内においては自社製品であるkintoneやGaroonを利用していますが、インサイダー情報やプライバシーに関わる情報など一部の情報を除いて、情報公開が徹底されていて、新入社員でもほとんどの情報を閲覧することが出来ます。

また、説明責任、質問責任を果たす風土を大切にしていて、役職や立場に関わらず、それが実践できる環境づくりを大事にしています。

そして、IT化により、業務効率化、組織変革の推進を図ることはもちろん重要ですが、IT化する事、ITシステム/ツールを導入すること自体が目的化してしまい、本来実現したい目的が置き去りにされてしまう、といった話を聞くこともあります。

ITシステム/ツールはあくまで、目的を達成するための手段であり、それ自体が主役ではないということは注意しておきたいところです。

重要なのはITシステム/ツールを使う事ではなく、組織変革を起こせる風土や環境を大切にすると言うことです。

まとめ

組織変革とITシステム/ツールは一見、関係が無い様に思えますが、上手に使えば、より多くの人を巻き込んだり、変革のスピードを速めたりすることができます。

業務改善だけでなく組織変革にもITシステム/ツールの活用を考えてみませんか?

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著者プロフィール

志釜 直樹

チームワーク総研 コンサルタント。システムコンサルティング本部においてマネージャーを経て現職。組織のチームワークをシステム面から支援する活動を行っています。
中小企業診断士、PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)。