1on1がなんとなく弾まない──荷が重い部下との対話をラクにする方法
ここ数年、1on1ミーティング(以下、1on1)を取り入れる企業が増えています。「日本の人事部」の調査によると、2020年春の時点で約4割の企業が導入しています。
1on1とはその名の通り、上司と部下が1対1で対話をすることです。一般的な目的は部下の育成が主で、上司には部下一人ひとりに寄り添いながら、能力を引き出すことが必要と言われています。
日本では比較的新しい取り組みのため、日々試行錯誤しながら臨んでおられる上司・マネージャーの方も多いのではないでしょうか。その中で、たとえば「話が弾まない」といった理由で、1on1の荷が重いと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、1on1の取り組みで悩んでいる上司・マネージャーの方々に、チームワーク総研で実際に行っている「気持ちが軽くなる1on1」の方法についてお話します。
1on1の荷が重くなる理由
たとえば、こんな風に思ったことはないでしょうか。
- 部下があまり話さない。話が弾まない
- 最近マンネリになってきた
- ついつい「指導」になりがち。どう関与すれば良いか難しい
- 部下の成長や変化を感じられない
「もっと話を引き出さねば」「部下の成長につなげなければ」と、ご自身に必要以上に過度な負担を強いると、どんどん荷が重くなってしまいます。上司・マネージャー側が負担を感じながらだと、相手も無言の圧力を感じるなどして、会話が弾まないケースも考えられます。
もっとカジュアルでいい1on1
サイボウズに「ザツダン」という取り組みがあります。
いわゆる1on1よりもずっとカジュアルな仕立てです。話題は部下がその時話したいことならなんでも良く、まさに雑談をする時間です。上司はいろいろな話を聞きながら、部下の小さなモヤモヤなどを把握します。「ザツダン」の主な目的は、コミュニケーション量を増やし、マネージャーがメンバーの状況を知ることです。
話題を限定せず、気軽に話せる時間。普段の1on1の他に、たまにはこのようなカジュアルな回を挟むと、思いがけない話題で会話が弾んだり、関係性がリフレッシュされたりということがあるかもしれません。
1on1が苦手なら、1on1on1という方法も
それでも「苦手だな」と思う場合は、思い切っていつもと違うメンバーに参加してもらうのはいかがでしょうか。
チームワーク総研では、定期のザツダン(1on1)にもう一人加わり、1on1on1にすることがあります。たとえば以前、マネージャーとAさんのザツダンに、担当業務が異なるBさんも参加しました。お互いの話が呼び水になり「それぞれが仕事でもっとこうしたい」という話に発展しました。また、マネージャーとCさんDさんの場合では、いつもは業務の話に終始しがちな所、プライベートな話で盛り上がり新たな側面を知るという展開が見られました。
もし、「部下があまり話さない」「最近マンネリ」といった状況なら、1人入ることで部下の方が話しやすくなるかもしれません。1人が加わることで場が新鮮になりますし、1対1でお互い「話さなきゃ聞かなきゃ」といった心理的負担も軽くなります。
また、「ついつい指導になりがち」「部下の成長を感じられない」といった意識なら、入ってもらう人に 1on1の様子を俯瞰で見てもらうというのも一つの手です。フラットな立場からフィードバックをもらい、改良のヒントとするのです。
まとめ
1on1の荷が重いと感じる時、大切なのは「正しくやる」ことではなく「部下が話しやすい状況をつくる」ことです。適宜、ザツダンや 1on1on1を取り入れることで改善できるかもしれません。ぜひお試しください。
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著者プロフィール
三宅 雪子
チームワーク総研研究員・編集員。組織におけるチームワークを探求。働く人の強み・魅力を引き出し、人と人との関わりをチームの生産性へつなぐ道すじを探る。