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情報共有の初心者が抱えた「4つの困りごと」。私はこう乗り越えた

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こんにちは。サイボウズチームワーク総研の三宅です。なかなか終わらないコロナ禍、テレワークを継続している企業の方も多いことでしょう。私たちサイボウズでも多くの社員がテレワークを続けています。

テレワークで欠かせないのが「社内の情報共有」です。情報共有とは「ある情報を複数の社員で共有する」ことです。

多くの企業ではメールなどのツールを使うケースが多いと思います。しかし、メールは指定した人しか見ることができないため、ここでいう情報共有とは、少し異なります。サイボウズの情報共有では、グループウエアを活用し、「情報を社内のオープンなオンライン環境でやり取りし、社員が誰でも自由に見ることができる状態にする」としています。

この情報共有は、簡単なようにみえて、慣れないうちは大変です。たとえば、多くの人がSNSを使っていると思いますが、自分の考えや意見を不特定多数に公開することが苦手な人もいるでしょう。リモートワークが普及したとはいえ、情報を共有することにハードルの高さを感じている方もいらっしゃるかもしれません。実は、私も苦手です。サイボウズに中途入社したてのころには、さまざまな戸惑いがありました。

そこで、この記事では「情報共有の困りごと」や、「乗り越え方」について、情報共有初心者だった私の経験をお話しします。「情報共有ははじめは大変だけど、やってみるとよさそうだ」と思ってもらえると嬉しいです。

【情報共有の困りごと 1】社内とはいえ誰がみているかわからない...情報はどんな内容にするべき?

サイボウズでは、プライバシーやインサイダーに関するものをのぞいて、あらゆる情報を共有しています。私の場合は、コメントのやり取りやファイル共有が主ですが、入社してしばらくは「コレ、勝手に共有していいのかな?」と、よく迷いました。

たとえば、まだ作成している途中で、内容が変わる可能性が高い企画書。中途半端なものを公開したら、「いい加減な人だと思われてしまうかもしれない」という怖さがありました。

他には、自分だけではなく数人でまとめた資料。「私が代表して上げちゃっていいのかなあ? 誰かに事前許可を取った方がよい?」など、アップする前にあれこれ心配してしまい、地味に疲れてしまいました。

しかし、しばらくするうちに分かってきました。それは、「情報共有は、目的を意識すればやりやすい」ということです。

先ほどの作成途中の企画書共有を例にして、目的を「途中だからこそ検討点や今後のステップなどを相談したい」としてみます。単純に、「作成途中の企画書を共有する? しない?」で考えると迷いましたが、「相談したいから共有が必要なのだ」と目的を認識することで、モヤモヤしなくなりました。

ちなみに、サイボウズでは「検討や相談のプロセス」も積極的に共有します。プロセスを共有をすると、思考の過程や背景を把握したり、必要な情報を後から確認したりすることができます。また、メンバーの意見を知る機会が増えることで視点やアイディアが増し、アウトプットに良い成果をもたらすことが多いです。

さらに、情報を誰でも見ることができるようにしておくことで、社内の他の人の参考になるケースも多々あります。オープンな環境での情報共有には、このようなメリットがあります。

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サイボウズ社内で行われているオンラインコミュニケーションのイメージ。橋本さん、林田さんのやりとりに、直接業務に関わっていない大脇さんが「参考までに」と書き込んだ内容が、林田さんの新たな発想につながっている。

【情報共有の困りごと 2】 知らない社員からの「思わぬ指摘」、どう受け止める?

中途入社したころ、正直こんな風に思っていました。「情報をオープンにして、もしプロジェクトをよく分かっていない人が傍からいろいろ言ってきたら......なんか、面倒くさそう」

多くはないですが、オープンにやりとりをする環境では「思わぬ指摘」は発生します。実際に、ほぼ面識のない社員から「通常、そういう進め方はしない」とコメントされたこともあります。その時には、「えっ?! いきなり誰? この指摘はどう扱ったらよい?」と、戸惑ったものです。

企業で使う情報共有ツールは、コメントと発言者がセットです。「誰が発言したのか」が関係者にわかります。そういう意味では、指摘した側も「リスクを冒して書いている」ことになります。ですから私は「指摘する側も、必要なことを伝えようとしてくれているんだな」と考えるようになりました。

今のところ、「思わぬ指摘」で面倒な目にあったことはありません。むしろ、足りない知識を得たり、仕事の視点をさらに広げたりといった「聞けてよかった」ものがほとんどです。

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【情報共有の困りごと 3】 テキストコミュニケーション、どう書いたらいいの?

「職場での文章=かしこまった体裁(メールのような)」中途入社したころは、そう思っていました。社内で同じチームの人にも、かしこまった文章でカキコミ。でもそのやり方だと、相手との距離感が一向に縮まりません。なんというか、みえない壁がある感じ......。

そのうちに、ケースバイケースで「適した書き方がある」ことが分かってきました。よく知った社内チームの場合は口語や顔文字をまぜながら、おしゃべりを文字にしたぐらいの感じがちょうどよい印象です。今は「主に読むのは誰か」を想定して書いています。書き込むスペースの参加者や、宛先に指定する相手で判断しています。

社内とはいえ、あまり面識のない他部署の人であれば、失礼や誤解を生まないように少し改まった書き方をします。リアルで会っている時の距離感と同じですね。

テキストの場合、口語や感嘆符、顔文字を使うことは意外と大切だと思っています。以前は、仕事の場で顔文字なんてナシでしょ、と思っていたのですが......。

たとえば、「わかりました」という返信。事前のやりとりによっては、なんかぶっきらぼう? 怒っている? などと不安が生じることもあります。もし「わかりました!」ならば、このような不安は和らぎます。

【情報共有の困りごと 4】情報洪水の恐怖

情報共有が進むと、社内の多くの情報を目にできます。興味にまかせて端から読むと......読んでも読んでも一向に終わりません。膨大な量の情報を目の当たりにして「こんなの読みきれない」と、呆然となりました。

しかし、しばらくして分かったのは、得られる情報を「すべて読んでいる人などいない」ということでした。情報にはレベルがあります。必要性に応じて、入手方法や読み方を変えることが大切です。

たとえば、他部署の動向を知りたい時の情報入手方法では、「情報をフォローして常時表示する」「フィルター設定をする」「検索でとりに行く」など。得た情報の読み方は、「きちんと理解しておくべき情報」「概要を知っていればいい情報」「知らなくても問題ない情報」といったレベルに合わせて変えます。私の場合、後ろにいくほどナナメ読みです。

このように、情報とのつきあい方を変えることで、なんとか洪水から逃れられるようになりました。また、情報とのつきあい方を考えることは、今の自分に必要なことは何なのかを知るきっかけにもなっています。

まとめ

オープンな情報共有が初心者だった私にとって、当初はいろいろな困ったことがありました。けれど、続けた先に待っていたのは、以下のようなよいことでした。

  • 情報共有すると、誰かの役に立つことがある
  • 情報共有すると、新しい情報が返ってくる
  • 新たな協働のチャンスが増える
  • プロセス共有がスピーディ
  • コミュニケーション力が鍛えられる
  • 知らなかった社員とつながりができる
  • 学び、情報収集の機会がひろがる

いま、情報共有を進めようとされている皆さんに、何かの参考になれば幸いです。



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著者プロフィール

三宅 雪子

チームワーク総研研究員・編集員。組織におけるチームワークを探求。働く人の強み・魅力を引き出し、人と人との関わりをチームの生産性へつなぐ道すじを探る。