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ハイブリッドワーク時代の「不安を解消するチーム」のつくり方

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新型コロナウイルス感染症との関わり方が日常になりつつあるいま、みなさんの会社では、どのような働き方になっていますか? 同じ在宅勤務でも、「フルタイム在宅勤務」から、在宅勤務と出社が混在する「ハイブリッド型」になってきている方もいらっしゃるかもしれません。

また、一言で「在宅勤務」といっても、これまでの「フルタイム在宅勤務」から、「朝は在宅で仕事をし、通勤ラッシュが落ち着いてから出社」や、「たまには同僚と会いたい」「気分転換も兼ねて出社」のような理由で、その時々によって働き方を変えている方もいるかもしれません。状況に合わせて働き方が選択できるのはうれしいことですね。

一方で、働く時間や場所が多様になるということは、誰が何をやっていて、どんな成果を出しているのかが見えにくくなることも。社員の側からすると「仕事振りを見てくれているかな?」「ちゃんと評価されているかな?」「評価は公平かな?」といった不安を抱くかもしれません。

管理職やリーダーからすると、働きぶりが見えずに、「ちゃんと仕事をしているのかな?」と不安になるかもしれません。

そこで現在の、社会的にみたテレワークの「働き方の状況」や、ハイブリッドワーク時代の課題、不安を解消するチームのつくり方についてみていきます。

社会的に見た「働き方の状況」

その時々の状況に応じて変化していく働き方。現在の働き方は、社会的にみてどのようになってきているのでしょうか。

日本生産性本部が2022年4月に調査した『第9回 働く人の意識調査』によれば、テレワーク実施率は2020年7月からあまり変わらず、約2割で推移しています。

出典:第9回 働く人の意識調査 | 公益財団法人日本生産性本部

次に、週当たり出勤日数です。コロナ禍の状況に合わせて「出社が増えた?」といった情報を見聞きすることがありますが、ここ最近の、本調査のデータをみると、必ずしも「出社が増えた」とも言えなさそうです。

言い方を変えると、約6割の人が、週のうち数日は会社、数日は在宅をはじめとしたテレワークというハイブリッドな働き方をしていると言えます。

出典:第9回 働く人の意識調査 | 公益財団法人日本生産性本部

また、同調査では、テレワークをしている人の労務管理の課題として、「仕事振りが評価されるか不安」「仕事の成果が評価されるか不安」「オフィス勤務者との評価の公平性」といった項目が上位に挙がってきています。

もしあなたが管理職やリーダーのような役割を担っていたら、社員のみなさんが抱く「不安」に対して、何らかの解消策を考えていく必要がありそうです。

ハイブリッドワークで仕事振りや成果、評価に不安を感じる理由

ところで、社員のみなさんが、仕事振りや成果、評価に不安を感じるのはなぜでしょうか。ひょっとしたら、「自分のことを見てもらっている感じがしない」からなのかもしれません。

たとえば、オフィスで仕事をしていたときは、あえて言語化しなくても、その見た目やふるまい、その言動から、メンバーが「何をしているのか」がなんとなく分かります。また、メンバーのほうも「見てもらっている」「気にしてもらっている」感じがします。

つまり、いままでは非言語によるコミュニケーションによって、「評価されている」といった印象がお互いにやりとりできたわけですね。

一方で、ハイブリッドワークになると、非言語によるコミュニケーションができなくなり、管理職側からもメンバーの動きが見えにくくなりますし、メンバー側からも「見てもらっている」「気にしてもらっている」印象を受け取りにくくなります。

ハイブリッドワークにより、社員の方が、仕事振りや成果、評価に不安を抱かないようにするためには、仕事ぶりや成果を「言語化」し、「共有する」ように促す必要があるでしょう。

サイボウズでは、日々の仕事ぶりや成果をグループウェアで共有

サイボウズでは2010年からテレワークやハイブリッドワークを行ってきましたが、そのプロセスはさまざまな試行の連続でした。その中でも、特に重要としてきたのは情報共有でした。

たとえば、スケジューラーには、打ち合わせなど、個々人の日々の予定が入っているため、「あぁ、〇〇さんは今日、こんなことをしているのだな」という予定がおおよそ理解できます。

スケジューラーに記入するほどでもない細かなタスクについては、公開スペースに「日報」のような形で、「今日は何をする」「今日は何をした」といった情報を簡単にまとめて同僚に共有しています。

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さらに「いま、〇〇をしている」「いま、気分がのっている/のっていない」といった細かな情報は、「分報」(ふんほう:分単位の情報)といった形で共有しています。

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これらは、全員に対して「こういう風にしましょう」とルール化されているわけではありません。ですが、離れているメンバー同士が、お互いに仕事がしやすいように情報共有することを意識しながら、社員みんなが働いていたら、自然と出来上がってきた風土です。

このように、ハイブリッドワークでは、お互いが「何をしているか」を言語化し、共有することによって、仕事振りや成果、評価に対する不安が少なくなります

情報共有をしてくれない社員に対してはどうする?

とはいえ、「情報共有をしよう」と言っても、共有をしてくれない社員の方もいるかもしれません。

その場合は、「仕事振りや成果を、ちゃんと評価したいから」「困りごとを早めにキャッチアップしたいから」のように、目的を伝えてみるのはどうでしょうか。

日報を書いたり、成果物や細かな状況を共有するのは、億劫に感じることもあるものです。しかし、それが、「仕事ぶりや成果を知る手段である」ということを、社員の方々が理解できれば、少しは積極的に情報共有してくれるのではないでしょうか。

なぜなら、ハイブリッドワークによって、「仕事振りが評価されるか不安」「仕事の成果が評価されるか不安」「オフィス勤務者との評価の公平性」といった不安を抱えているかもしれないのは、社員のみなさんだからです。

そこで、単に「日報を書け」と伝えるよりも、「課題を解決するためです」のように、その目的が理解できるように伝えてみましょう。

ハイブリッドワークでも、情報共有すれば不安は少なくなる

今回は、社会的にみたテレワークの「働き方の状況」や、ハイブリッドワーク時代の課題、不安を解消するチームのつくり方についてみてきました。

ハイブリッドワークが進むと、社員一人ひとりが、それぞれの事情にあった働き方ができるようになります。そのため、エンゲージメントの高まりなども期待できます。

一方で、情報共有しないと、社員の側からするとさまざまな不安が生じやすく、管理職の側からすると何をしているのかが見えにくくなります。

社員のみなさんの働きぶりをきちんと評価するためにも、社員の皆さんに対して情報共有を積極的に働きかけること。そうすることによって社員のみなさんの不安は減り、チームワークのよい会社になっていきます。


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著者プロフィール

竹内義晴

チームワーク総研とサイボウズ式編集部の兼務。新潟でNPO法人しごとのみらいを経営しながらサイボウズで複業しています。「2拠点ワーク」「週2日社員」「フルリモート」というこれからの働き方を実践しています。