共感を得るには?持続可能なチームにするには?──第2期「次世代リーダー フューチャーセッション」第3回
※ベストチーム・オブ・ザ・イヤーのサイトから移設しました
第1期で実際に社会を変えるチームを生んだ「次世代リーダー フューチャーセッション」。第2期が幕を開け、第1回、第2回と参加者の思いが共有されつつ、今回が3回目のセッション。参加者のモチベーションもあがり、いよいよ参加者のなかから生まれたチームが具体的な活動に移すときがやってきました。
今回は、会場をイトーキ東京イノベーションセンターSYNQAに移し、4月18日に開催。これまでの2回を経て独自のテーマを設定した8つのチームでスタートしました。 昨年の第1期と違い、今回はあえて第4回のセッション前に3カ月のトライアル期間を設定。この期間は、各チームがやりたいことを社会に働きかけ、どんな反応が返ってくるか、実際にチャレンジし体験する期間です。今回はそのチャレンジ期間に入る前に、アイデアに磨きをかけ、実際にアクションをとれる形にまで仕上げていくことが目標です。次回へ向けて大きく変化する、いちばん面白いところ。
「今日は大きなターニングポイントになります。チームをみなさんと一緒に成長させていきましょう」ファシリテーター上井さんの言葉でセッション・スタートです。
クラウドファンディングのプロが教える──プロジェクトの企画書に必要な3つの要素とは?
いつにもまして和やかな雰囲気で始まった第3回。実は、先日4月8日にミートアップとしてサイボウズ本社で交流会がありました。一期生の参加もあり、19時から23時過ぎまで、社会を変えるプロジェクトにかける想いを語り合い、結束も情熱もさらに熱くなった様子。プロジェクトの内容もより具体化してきています。
今回はゲストキュレーターとしてクラウドファウンディングサービスのREADYFOR株式会社から納谷春菜さん、中込まどかさん、大久保彩乃さんに参加いただき、その内容をより実現可能なものに落とし込んでいきます。 「少し厳しめになるかもしれませんが、素敵なアイデアになるように協力させていただきます!」
さっそく、「READYFOR的プロジェクト作成のコツ」を納谷さんが語ります。 「実際に寄付金や協力者が集まるようなプロジェクトの作成に必要な要素は3つあります」
1.プロジェクトの内容を具体的に。
いつ、誰が、どこで、どのように、誰のためにやるのかを明確にすること
「パッと見て、何のためにお金が必要なのかがすぐわかることが重要です」
2.誰が喜ぶのかを明確にすること
「プロジェクトそのものが自己満足に終わると共感が得られません。共感を得られるしくみが重要です」
3.プロジェクトにかける想いを"熱く語る"こと
「どうしても似通ったプロジェクトはあります。その中で、なぜ自分のプロジェクトが必要なのか、他とどう違うか。それを熱く語ってほしい。ぜひ"ぐっとくるポイント"を見つけてほしい」
「結局、何をやるの?」「話が壮大すぎる」──するどい指摘を受け、考えを深める参加者
納谷さんの話でおおいに刺激された後、今度は全チームがプロジェクトの概要を2分以内で発表します。
すでに前回セッションの後、各チームともに個別に集まり、内容はかなり具体的に詰めてきています。なかには、毎週集まって対話したという強者も!
本格的にプロジェクトの内容を詰めてしまう前に、まずは各チームの内容を全体で共有し、それから深掘をする。ここは重要なステップでもあります。
その後、他のチームの前でチームごとにゲストとの15分の対話を行う形式でプランを詰めます。ここではゲストメンバーから、さまざまな角度の指摘や厳しい質問、さらにアイデアをより深めるヒントになるような意見もでました。時にするどい指摘にチームメンバーが答えに戸惑うシーンもあり、さらに深く思考をめぐらせる濃密な時間になりました。
たとえば、神前式をもっと多くの人に利用してもらいたい、というHAPPY神前式チームに対しての意見を抜粋します。
神社や運営側のニーズは見えます。でも、神前式をあげる人たちの姿が見えない。その人たちには、神前式をするどんなニーズがあるんだろう? 関わる全員がwin-winになる必要があります。まずは、その対象者のヒアリングが必要では?
神前式は絵がつくりやすい。メディアに載りやすいと思います。どこかとがっつり組んでモデルケースをつくるといい
このような具体的な意見に触発されたチームのメンバーは、神社、町内会、このプロジェクトのターゲットとなる外国人観光客の方を集めて、まずはヒアリングの場を設けることにしました。
スポーツで社会貢献したいという社会貢献アスリートチームには、より直接的な厳しい意見が登場しました。
結局、何をやるの? という、第一歩が見えてこない。コンセプトがキレイすぎてリアリティがない。どうやれば周りの人をワクワクさせられるか、そんな視点でイベントを実施して、まずは成功事例をひとつ作ってしまう。その事例を持って企業に持っていく方が資金も集まりやすいし、わかりやすいと思います
2020年までにオリンピック・パラリンピックの競技を体験しよう!というオリパラチームの企画についての意見では......
話が壮大すぎて実現できるのかな? と思ってしまう。まずは第1回目をいつ開催するのかを明確に決めて、具体的に進めていかないと、空中分解して、いろんな人を巻き込んだのに実現できなかったとなってしまわないか。具体的な数値目標(KPI)を決める必要があると思います
粗大ゴミを使ってカフェを作り、地域活性を目指すGOMI CAFEチームでは...
地域活性化は全国でやられている。でもなかなか続かないという現状があります。なぜ続かないのかをしっかり理解しておく必要があると思います。成功事例としては、徳島県の『いろどり』があります。高齢者の葉っぱビジネス。お金を稼ぐことができて、メディアが入ってくることでさらにお金が地域に落とされる。何より持続性があります。私たちも、この話を聞いたときに『すごい!ぐっとくる!』と言い合った覚えがあります
チームメンバーからは、「やはり全体的な考えのプレゼンより、具体的な成功事例をひとつ持っていくほうがわかりやすい」とか「何を支援したいのかが見えてこないのか...」と気付きが多く出て、内容を詰めていくためにポイントが明確になりました。
持続可能な組織にするためには、直感的な「ワクワク」と、論理的なKPIの両面が必要
厳しくもあたたかい意見が出たあとは、再び納谷さんが話を始めます。
みなさんのお話を聞いて大事なことが2つあると思いました。
ひとつは"ワクワクする、楽しくする"、そして"楽しくやるんだけど、明確な目標数値KPIを置くこと"です。
READYFORでは、半年でプロジェクトを設定します。その期間で、ひとつイベントを成し遂げる。そうすると自信が生まれます
人間には右脳(直感)と左脳(論理)があるように、直感的な楽しさも、具体的な道筋を作っていく作業もどちらも大事なようです。 さらに中込さんからは、「対話や活動が盛り上がると新しいアイデアが出る一方で、自分たちの最初の問題意識を忘れることがある。サスティナブル(持続可能)な活動にするには、常にそこを行ったり来たりしてほしいですね」という言葉もいただきました。
指摘を受けた後、さらにチームで今後の活動について詰めていきます。
合間には、今回の主催者であるベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会の椋田亜砂美さんからアドバイスが。
「具体的でわかりやすいプロジェクトは、コンテンツのアイデアはたくさんでますが、それだけだとただのイベント屋になってしまいます。『誰の・何を解決したいか』を考えて、コンセプトとコンテンツをつなげることが大事です。ここは、チームビルディングのいちばん難しいところ。チームの最終的な目標、理想――会社で言えば企業理念にあたる部分をしっかり考えて、そのために何をするかを決めていってください」。
さらにファシリテーターであるフューチャーセッションズの上井さんからも。
「今はPDCAのサイクルのなかで一番難しいところをやっています。P(=PLAN)の部分をしっかり作ってください。さぁ、追い込んでいきましょう!」
モチベーションも上がったところで、今日の締めくくりである最後の対話が始まりました。
ぜひあなたも社会を変えるチームの仲間に!
どんどん具体的にイベントスケジュールを組んでいくチームもあれば、コンセプトをどう具体的なイベントに落とし込んでいくか、ワクワクはどこにあるのか、をあらためて考え直すチームもあり、進捗はさまざま。難航しているチームにはファシリテーターも入りながら対話を熟成させていきました。
「"ワクワク"という言葉は抽象的です。でも、そこをどんどん仕掛けていきましょう!」という上井さんの言葉で第3回目のセッションは一旦終了です。
第4回セッションは8月29日開催予定。それまでに各チームがイベントを開催していきます。すでに下記のとおり日程が決まっているチームも。
ぜひあなたもイベント出席という形で"社会を変えるチーム"プロジェクトに参加してみませんか。みなさんのご参加をおまちしています!
▼各チームイベントおよび活動日程
◆まつボッチチーム
4/26、4/29、5/2、5/9開催の各地の祭りにボッチで参加!
お寺をコワーキングスペースとして活用すべく、6/13(土)に浅草のお寺でフューチャーセッション開催。
◆HAPPY神前式チーム
5/15(金)に地域の人、外国人観光客とチームメンバーで飲み会を実施。
◆GOMI CAFEチーム
5/10(日)に銀座の長野アンテナショップで、フューチャーセッション開催。
◆深夜学校チーム
5/22(金)の深夜から明け方にかけて、神田のフューチャーハウスで第1回深夜学校開催。
8/30(日)social football COLO CUP開催。女性も子どもも楽しめるサッカー防災ワークショップを中心としたチャリティフットサルイベントを実施。
◆2020オリパラ体験チーム
5/24(日)にキックオフミーティングを実施。
◆アスリート2足のわらじプロジェクトチーム
FBページにてアスリートのセカンドキャリアに関する情報を発信。8月までに『アスリートフューチャーセッション』を実施。
(執筆:新川 五月/撮影:北畠 瑠乃/編集:プレスラボ)
著者プロフィール
ベストチーム・オブ・ザ・イヤー
ベストチーム・オブ・ザ・イヤーは、2008~2016年の間、最もチームワークを発揮し、顕著な実績を残したチームを、毎年「いいチーム(11/26)の日」に表彰したアワードです。