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異業種の管理職が組織づくりの悩みを共有――サイボウズ チームワークMeetupレポート

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サイボウズでは、チームワークMeetup を開催しています。企業のチームワークや組織づくりの「ちょっとしたお悩み」について、サイボウズチームワーク総研のコンサルタントや他の企業の方と話ができる「対話イベント」です。

第1回目のテーマは「リーダー・管理職の育成、インプットだけじゃダメ」。様々な業種の人事担当8名様にご参加いただき、お悩みや背景、「うちはこうしてますよ!」といったアイデアなど、雑談形式でお話いただきました。

この記事では、サイボウズの事例も交え「現場のリアル」をレポートします。

リーダー・管理職の育成、インプットだけじゃダメ

初対面のみなさまの場を和ませるため、アイスブレイクの時間をしっかりとって、自己紹介からのスタートです。可能な方はカメラオンで、明るい雰囲気の中はじまりました。

開催概要:チームワークMeetup#01

日 程:2022年2月22日 オンラインで約1時間
参加者:人事担当者8業種8名
    サイボウズ チームワーク総研 コンサルタント 新島泰久也

事前にいただいた質問には、「管理職、次期管理職候補、組織改革を推進するための人財の育成方法は?」「遠隔地の管理職に対してどのような教育、フォローアップをしているかを相談したい」といった声がありました。それぞれについて、対話をしながら進めます。

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新島:いろいろとお悩みがあがっています。ご質問をくださった背景を聞かせてください

Iさん:在宅勤務では、個々の作業になりがちです。組織としてまとめながら成果を出す、そういった管理職の人材育成はどうやっていくのかなと。


Nさん:私は技術部門におりまして、管理職や技術者向けの研修をやっています。できれば部門だけではなく、全社に向けた研修にも関わってみたい。でも、部門の壁があります。部門を越えた関わりを作った事例があったら聞きたいです。


新島:ご質問ありがとうございます。

これまで、管理職の育成といえば「インプットメイン」でした。しかし、今は変わってきています。やるべきことは3つあります。

1つ目は、これまでと同様「インプット」です。一言で管理職と言っても、「管理型」や「支援型」、「ビジョン型」など様々な管理職やリーダータイプがあります。

インプット内容を決定するには、社外や社内の環境を鑑みた上で、育てたい「理想の管理職像」を設定するといいですね。そして、理想の管理職になるためには「どんな学びが必要か」を考え、インプット内容を決めていくことが重要です。

2つ目は、管理職やマネージャー同士の「対話の場づくり」です。以前と比較して、管理職の抱える問題は多様化していますし、どんな対応をすべきかも複雑になっています。

そんな時に大切なのが、管理職同士が集まって、部下の育成や業績達成の課題をお互いに話し合い、解決策を相談し合うことです。この、対話の場づくりによって、管理職同士の横のつながりが強化されるため、相談し合える関係ができたり、悩んでいた自部門の課題が解決したりします。

3つ目は「学びの実践」です。たとえば、社内の課題に対して、目的に応じた「ボード」と呼ばれる委員会を組成し、課題解決を任せていくシステムも効果的です。

ボードには、中長期的な未来に向けた方向性を検討する「ビジョンボード」、現在の経営課題や全社的な問題解決を行う「ジュニアボード」、次期幹部候補として学びながら現場課題を実践する「ネクストボード」の3つのパターンがあります。このような実践型の育成システムによって、管理職を育てることもできます。


Kさん:次期管理職候補者の研修でも、社内問題を解決するプロジェクトを、インプットとは別に行っていくのはありますね。次期管理職の選定にも使っています。


新島:管理職としてのマインドの成長を促す「グロースマインドセット」も最近流行ってますね。


Iさん:マインドセットもされてるんですね。

私のいる開発系部門は個人技が多くて、部署で対話が生まれにくいところに危機感を持ってます。そこで、管理職を対象に、チームワークを意識させ、コミュニケーション課題ややり方の問題についての目線を合わせるために、部署ごとに月1回、全体で年3回など、内省の場をできるだけ設けるように進めています。


Mさん:うちは研究所ですが、Iさんと同じように、管理職の悩みを持ち寄って内省をする、「リフレクション・ラウンドテーブル」という研修を週1回、半年かけてやっています。悩みを聞いて、「次のアクションにつなげてもらおう」という意図です。

でも、研修の間はいいんですけど、チームに帰ると「我に戻る」って言うんですかね?研修が「やりっぱなし」のような感じになっているのが問題だなと。新島さん、なにか知見はありますか。


現場発想の実践的プロセスが、研修成果をうむ

新島:Mさんがおっしゃるように、日本では研修と実践が、すごく離れていると言われていますね。インプットをしても、「現場ではそんなこと起きないし」とか。

その点では、「実務システムを自分たちで作る」はオススメです。

例えば、実践にむけた1on1の仕組みを、管理職メンバーが育成プログラムの中で考えるといった感じです。人事が決めるのではなく、人事のアドバイスをもらいながら、管理職が普段の業務の仕組みを変えていく。現場にも成果が伝わりやすいです。


Hさん:いまの管理職が、次代の管理職に実践の仕方を教える時に、周囲に開示しながら行う。その研修を兼ねている、そんな意味合いですか?


新島:はい。例えば、メンバーの中から「部下育成うまくいかない」というテーマが出たとします。それを解決するためには「どんな方法がいいんだろう?」って、解決策を自分たちで考える、作ってみる感じです。

そこに人事が「最近1on1っていうのが流行ってるらしいんだけど、管理職みなさんで検討してみませんか」のように提案し、管理職が実践しやすい1on1の形を自分たちで作ってみるのです。

そして、来月のプロジェクトまでに実践して、どうだったか話し合いましょうと。

ところで、Mさんの会社では管理職の悩みを持ち寄って内省をする研修を行っているとおっしゃいましたが、どんな感じでしたか?


Mさん:もともとは、メンバーとマネジャーの関係性を向上するために始めたんですね。うちの会社は50名ほどの社員がいるのですが、今まではトップダウンでした。でも、ここ2年ぐらいで、マネージャーに「自分で考えて自分で行動してほしい」となりまして。

いままで管理職には「メンバーの話を聞く」という文化がなかったので、まずは1on1から始めました。とはいえ、1on1なんて聞いたことがない状態だったので、いきなりではなく、月1回のワークショップを行い、レクチャーや悩み共有、振り返りの場を必ず設けるようにしてみました。

また、管理職と1on1を受けたメンバーにはアンケートを取りました。すると、だんだんメンバーの反応が良くなってきて「この時間で思考の整理が出来た」とか「自分のタスク管理が上手くいくようになった」という声が増えてきたんです。

このようなフィードバックが「マネージャーの自信」にもなっていって、今はやってよかったなって思っています。本当に、研修と実践が離れないように、必死にやった6ヶ月でした。


新島:皆さんのように、学びに対して積極的な人事の方って、いろいろと手法をご存知だと思うんですね。でも、社員からは「いらんよ」と言われるケースも少なくありません。

そこで、まずは「こんなの使ってみる?」といった形で社員に意識づけして、自分たちで作り、使ってもらう、それをメンタリングやフィードバックをするという形で、浸透するといいかなと思いますね。


参加者皆さんのお悩み共有からはじまったミートアップ。話が弾み、あっという間の1時間となりました。

当日は他にも、

・離れた場所(現場が船舶や建設現場)でのOJTフォロー
・不満があるけれど、自分で何かをやろうとは思っていない人への動機づけ

といったテーマで、現状や課題感の情報交換がされました。

まとめ

チームワーク総研では、今後も「チームワークMeetup」をはじめ、参加者皆さんが意見交換できるイベントを開催します。

次回は4月26日「若手の育成」をテーマに開催します。ご興味ある方、 ぜひお話いたしましょう!

著者プロフィール

三宅 雪子

チームワーク総研研究員・編集員。組織におけるチームワークを探求。働く人の強み・魅力を引き出し、人と人との関わりをチームの生産性へつなぐ道すじを探る。