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「名ばかりDX」はいらない。自社らしい組織変革の進め方

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サイボウズ チームワーク総研 コンサルタントの新島泰久也です。

「組織を変革しなければならない」──多くの企業で抱えているテーマです。御社では、以下のような課題を抱えていらっしゃいませんか?

  • ここ数年の大きな世の中の変化に、ついていけていないと感じる社員が多い
  • 若手社員(30代以下)の離職が多く、平均年齢が上がっている
  • 新しい取り組みやプロジェクトが予定調和で終わる。もしくは頓挫してしまう
  • 社内に不満は多いと感じるが、不満が会社の変化や意思決定につながっていない
  • 理想や方針の立て直しはあるが、結果はいつも業績偏重の管理になっている

しかし、その意識はあっても「どうやって進めたらいいのか分からない」「取り組み始めたものの、うまくいかない」という課題を抱えていませんか。

サイボウズでは、28%の離職率があった時代から、約3%(2020年度時点)に組織を変革してきた経験を元に、組織変革の支援をしています。

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そこで、この記事では、組織を変革していくためのあり方とやり方についてご紹介したいと思います。そのポイントは「世の中の正解」をまねるのではなく、「自社らしい組織のあり方」を見出し、実践していくことです。

社会の変化にみる「組織変革が必要な理由」

「組織を変革しなければならない」とよく耳にする今の時代に、そもそもなぜ、変革しなければならないのでしょうか。

それは、産業構造の変遷を見てみると、その理由がよくわかります。

人類の産業構造の変遷をたどったとき、私たちはこれまで、

  • 狩猟社会(Society1.0):生理的欲求に従い、目の前の獲物のために行動する
  • 農耕社会(Society2.0):技術を磨き、受け継ぐことで効率的に作物を得る
  • 工業社会(Society3.0):大量生産のために計画通りに人を管理し、行動させる
  • 情報社会(Society4.0):インターネットにより広がった情報を元に、チームで付加価値を創造する

という、働き方の変化を歩んできました。

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現在の情報社会はSociety4.0で、これからのSociety5.0は、「新しい創造社会」とも言われています。こういった産業構造にともなう働き方の変化は、今にはじまったことではなく、私たちはこれまでも、変化しつづけてきました。

農耕社会や工業社会は、技術の変化が緩やかで、何十年、何百年という単位で開発が進んできました。組織は、その変化に合わせることができました。

しかし、インターネットが急速に発展し、社会が「工業社会」から「情報社会」に変化した今、技術の変化スピードが急速に早くなりました。一方、組織は今までのスピード感のままです。

そこで、今、組織の変革が求められているのです。

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デジタルの力で組織を変革するDX

組織の変革を進める上で、近年注目を集めているのがDXです。

DXは「Digital Transformation」の略で、トランスフォーメーションとは「変革」という意味です。

情報社会による技術の変化が一気に起こり、それに合わせてビジネスモデルや組織が変わってきました。現代の変化スピードはかなり早い。そこで「デジタルの力で組織を変革しましょう」というのがDXです。

たとえば、GAFAといわれるIT関連企業は、技術の変化に合わせて生まれ、発展してきました。ひょっとしたら、サイボウズもその1つなのかもしれません。技術の変化に合わせて組織が生まれたため、変化しやすい特徴があります。

一方で、日本には工業時代に生まれた50年、100年続く企業が多くあります。そういった企業にとって、DXは容易ではありません。なぜなら、技術変化のスピードと、組織変化のスピードが合わないからです。

そう考えると、DXは単なるデジタル化ではありません。組織を変革していくことがDXの本質なのです。

名ばかりDX──技術変化と組織変化のミスマッチ

とはいえ、理想は分かりますが、現実は難しい。私がコンサルタントとして関わっているお客様から聞こえてくるのは「印鑑を無くそう」「2時間続く会議をどうにかしたい」「テレワークをすると監視が多い」といった話が多いのが実情です。これは、DX以前の問題です。

つまり、技術変化と組織変化のスピードがミスマッチを起こしているのです。

また、新型コロナウイルス感染症の広がりによって、働き方が大きく変わりました。しかし、私の印象では、組織変革が起こっている企業は1~2割ぐらいで、ほとんどの企業は「とりあえず、今だけテレワークにしよう」といった緊急対応との認識で、組織の変革まで進んでいないのが実情です。

「名ばかりDX」でよくある失敗は、制度やツールのみに意識が向いてしまうことです。一方、「テレワークのためにツールを入れよう」が、まさにそれです。

「理想のDX」は、未来の働き方を定義した上で、組織変革を考えます。

サイボウズでは、組織変革には3つの要素が必要だと考えています。それは、「制度」「ツール」「風土」です。DXを宙ぶらりんではなく「理想のDX」にするためには、制度やツールに加えて、風土の変化もあわせて行っていくことが、本質的な組織変革なのです。

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組織変化に必要なのは「自分ごと化」

しかし、ここまでのお話でこんな声が聞こえてきそうです。

「新島さん、言いたいことは分かりますが、風土なんてそうそう変わらないんじゃないですか?」

もしあなたが、経営者や人事担当者なら、きっとこれまでも、ツールの導入やさまざまな制度、テレワーク......いろんな取組をしてきたでしょう。風土を変えるために、さまざまな施策に取り組んできたはずです。

しかし、社員には一向に響かない。「こんな風にしていきましょうよ」といった社員の声は生まれずに、制度やツールが宙ぶらりんになってしまう。なぜ、社員は「自分ごと化」できないのでしょうか。

それはきっと、「人事や評価の制度は人事や経営が考えるものだ」「教育の仕組みは人材開発チームが考えるものだ」「ITやシステムの導入はシステム部門が考えるものだ」といった、「専門的なことは専門チームがやる」といった考えが、社員の中にあるからなのでしょう。

しかし、「専門的なことは専門チームがやる」といった分業的な考え方は、工業時代の組織のあり方です。工業時代は、これでも成果が上がりましたが、変化のスピードが速い情報社会は、これでは会社の風土は変わりません。

では、社員が「自分ごと化」するためにはどうすればいいのでしょうか?

組織を「社員が変えていく」

「人事制度を変えたい」「教育体系を変えたい」「働き方改革したい」「テレワークを導入したい」......様々な経営課題に対して、社員が「自分ごと化」するポイントがあります。

それは、それぞれの部署で取り組むのではなく、「社員とともに解決していく」ことです。

組織改革でよくある失敗が、他社の成功事例をそっくりそのままマネすること。しかし、他社は規模も違えば、集っている人も違うため、ただマネるだけではうまくいきません。

どんなに優れた制度でも、社員が納得していなければ「自分ごと化」はできません。逆に、精度はそれほど高くなくても、社員が「これでいい」「これをやっていこう」と納得していれば、組織が変わる確率は高いです。

大切なのは「他社で成功した改革」より「自社らしい改革」です。「自分たちで変えてきたんだ」という経験が、組織を変革するのです。

もちろん、多様な考えを持つ社員がいる中で、納得性を高めていくのは非常に難しいのが実情でしょう。それでも、社員一人ひとりが納得した制度やツールを選ぶこと。そして、社員が自分たちで改善を繰り返していくこと。このようにすることで、会社の風土が変わります。

正解のないこれからの時代に

これまでの農耕社会、工業社会では、緩やかに変化してきたこともあって、「こうするのが正しい」という正解がありました。成功事例を制度化、ルール化し、その通りに管理をすることで、社員は役割通りの行動ができ、組織はうまくまわりました。

一方、情報社会となり、変化のスピードが早いいま、社員が自律的に議論と対話を繰り返して、自分たちらしい組織に改革をしていく必要があります

しかし、現実はそう簡単にはいきません。なぜか。それは「情報共有ができていないから」です。「何が起こっているのか」が分からない中で、自分ごと化はできません。

これまでの農耕社会や工業社会では、情報を共有したり、現場の声を経営者に届けたりするのは、時間とコストが掛かりました。そのため、現場の意見は「課長に伝え、部長に伝え......」という、伝言ゲームによる情報伝達をするしかありませんでした。

しかし、インターネット社会の今は、情報共有が非常にやりやすい。社員の声を拾ったり、全社員で取り組んだりすることが容易にできるようになりました。サイボウズやGAFAがうまく組織を運営できたのは、 ネットによる情報共有のコストを正しく反映できた、それに合わせて組織を作ってきたことが大きい。

今は、さまざまな情報共有ツールがありますし、業種による制約もありません。まずは、情報共有を行っていくことが、組織を変革する上で最も大切なのです。

※組織改革の具体的なステップは、後編に続きます。公開後にリンクします。

著者プロフィール

新島 泰久也

「人と組織の発達を支援する」が信条。元経営コンサルタントとしての経営目線と、サイボウズの「チームワークメソッド」を織り交ぜ、「チームワーク経営(チームの生産性とメンバーの幸福が両立する経営)」の実現を目指す。 成人発達理論・インテグラル理論の研究。アロマテラピーインストラクター。