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部下とのコミュニケーション・ギャップはなぜ起きる?──「質問責任・説明責任」という考え方

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仕事をしていると、職場でのコミュニケーションは欠かせないですね。意思疎通を図ることは、仕事のプロセスやアウトプットの質に直結する重要なスキルです。

特にマネージャーの皆さんは、部下への指示や進捗確認、他部署との調整など、仕事を進める上で実に多くのコミュニケーションをとられていることでしょう。

一方で、「ちゃんとコミュニケーションを取りたい」と思いながらも、ギャップを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。どうすればギャップを解消し、意思疎通を円滑にできるのでしょうか?

この記事では、仕事のコミュニケーションに生じがちなギャップと、解決方法について考えます。

よくある「部下とのコミュニケーションの困りごと」

例えばこのように思った経験はないでしょうか?

部下に「〇〇を進めておいて」と言ったのに、いつまで待っても報告に来ない。一体どうなっているのか分からない。

顧客に提案する資料の作成を部下にお願いした際、ざっくりとした例を伝えたら、その通りにやってきて、「これじゃあ、お客さんに提案できない」と思う。

組織で働く人であれば、少なからずこのような経験したことがあることでしょう。自分の意思と違う現状を目の当たりにすると、モヤモヤしてしまいますね。

コミュニケーション・ギャップの原因は、「思い込み」と「目的共有の欠如」

なぜ、コミュニケーション・ギャップが起きるのでしょうか?そこには、大きく2つの原因が考えられます。

原因1:お互いの思い込み

1つ目の原因は「お互いの思い込み」です。前述した、

「〇〇を進めておいて」と言ったのに、いつまで待っても報告に来ない。一体どうなっているのか分からない。

の例で考えてみます。

よく、「部下はホウレンソウ(報告・連絡・相談)をするべきだ」といった話を耳にしますが、このようなコミュニケーション・ギャップを感じるということは、上司側に「言われなくても、部下の側から報告にくるのは常識だ。」という思い込みがあるのかもしれません

一方、部下からすると「進めておいて=任せられたから、すべて終わってから報告しよう」と思っているのかもしれませんし、「この程度の内容なら、いちいち報告しなくても良いだろう」と思っているかもしれません。

このように、上司と部下との間に「思い込みの違い」があると、コミュニケーション・ギャップにつながります。

原因2:目的共有の欠如

2つ目の原因は「目的共有の欠如」です。前述した、

顧客に提案する資料の作成を部下にお願いしたときに、ざっくりとした例を伝えたらその通りにやってきて、「これじゃあ、お客さんに提案できない」と思う。

の例で考えてみます。

この上司が目指したのは、顧客に提案できるレベルの詳細な内容でした。そこには、部下のアイデアも入れてほしかった。しかし部下が作ってきたのは、上司が「例え」で言った内容そのままでした。

部下にとっては、上司の言葉を忠実に形にすべきと思っていたのかもしれません。このように、目的が共有されていない場合も、コミュニケーション・ギャップにつながります

「質問責任・説明責任」という考え方

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では、「思い込み」を減らし、「目的共有を図る」には、どうすれば良いのでしょうか。ひとつの方法として、サイボウズの「質問責任・説明責任」という考え方をご紹介します。

「質問責任」は、相手が社内の誰であっても「疑問や聞きたいことがあったら、何でも質問しましょう」というものです。必ずしもキレイな質問文に整えてから伝える必要はありません。「〇〇について、何となくモヤッとしています。私はどうしたらいいのでしょうか?」といった内容でもかまいません。大切なのは、モヤモヤや疑問をそのままにせずに、口に出してみることです。

一方で、部下から上司に質問をするのは、時には難しいことかもしれません。そこで、上司の側から部下に「分からないことは、なんでも聞いてね」などと、質問を促す雰囲気をつくるといいでしょう。

「説明責任」はシンプルに、「質問されたら、説明しましょう」というものです。説明する場合は、単にやってほしいことを説明するだけではなく、「何のために、それをするのか」という目的も合わせて伝えると、コミュニケーション・ギャップを減らすことができます。

「質問責任・説明責任」で起こること

「質問責任・説明責任」を意識すると何が起こるのでしょうか。

まず「何でも聞いてよい(それにより不利益を被らない)」ので、コミュニケーション・ギャップを修正する機会が増えます。

たとえば、前述の例ですと、「部下からの報告が無い」と気になる場合には、上司からシンプルに「あの件どう?」と質問してみます。また、資料の作成内容が気になる場合には「この資料の目的は、私はこう考えているんだけど、それを分かりやすく伝えるためにはどうすればいいかな?」のように質問します。

答える部下は、それならばと自分のアイディアを説明したり、逆に不足点を上司に質問したりするなどし、内容の深堀りが始まるでしょう。早いタイミングでコミュニケーションが生まれることによって、手戻りやストレスも減っていきます。

また、コミュニケーション・ギャップが解消されることで、部下の案件に関する共感度が上がる効果もあります。一つ一つ納得することで、主体的に関わることにもつながっていくのです。

そして、質問をきっかけに問題点が露わになったり、もっと良いアイディアにつながったりする場合も多々あります。質問は好循環を生むチャンスととらえ、質問者への理解や感謝を持つことも大切です。

この辺りのことはチームワーク総研の新刊本『「わがまま」がチームを強くする。』 でも解説しています。よろしければご覧ください。

「思い込みの解消」と「目的の共有」で、コミュニケーション・ギャップは縮まる

何だか伝わっていないなあ、とコミュニケーション・ギャップを感じたら、「質問責任・説明責任」という考え方をぜひ試してみてください。質問・説明を重ねる中で、お互いの思い込みの解消と、目的共有を意識することがポイントです。

職場のコミュニケーションの中でギャップが減り、少しでもモヤモヤが解消されていくといいですね。

サイボウズチームワーク総研では、オンラインでご参加いただけるセミナーを行っています。宜しければご参加ください。

著者プロフィール

三宅 雪子

チームワーク総研研究員・編集員。組織におけるチームワークを探求。働く人の強み・魅力を引き出し、人と人との関わりをチームの生産性へつなぐ道すじを探る。