「上司の指示に従順で、おとなしい社員」の自発性・自立性を育てるには?
「なぜ、うちの社員は上司の指示に従順で、おとなしいのか?」「自発的・自立的に行動してくれないのか?」──もしあなたが人事の方でしたら、社員に対してこのような課題を抱えていらっしゃいませんか?
特に、変化が早く「これが正解」という明確な答えがないいまの時代。必ずしも上司の指示が的確とは限りません。
また、状況が時々刻々と変化する中で、ただ、上司の指示を仰いでいるだけではなく、課題を解決するためのアイデアを自分で考え、周囲を巻き込みながら形にしていく「自ら道を切り開く力」を身に着けてくれたらいいなと思っていませんか?
自発性、自立性を持った社員を育てるためには、どのようにしたらよいのでしょうか?
サイボウズの「自立を促すカルチャー」
「自ら道を切り開く力」という意味で、サイボウズのカルチャーが参考になるかもしれません。
サイボウズの理念は、「チームワークあふれる社会を創る」です。この理念を達成するために、「理想への共感」「多様な個性を重視」「公明正大」「自立と議論」という、4つのカルチャーがあります。
上司の指示を仰いでいるだけではなく、自ら道を切り開き、周囲を巻き込みながら形にしていくためには、この中でも「自立と議論」が大切なのではないかと思っています。
自立とは、周囲の支配を受けずに、自分の力で物事をやって行くこと。議論とは、お互いの考えを尊重しながら、意見を交わすこと。自発性・自立性を高めるためには欠かせないアクションです。
そのため、「遠慮せずにやっても大丈夫ですよ」という安心感や雰囲気が、組織やチームの中に必要でしょう。
なお、4つのカルチャーについては、新入社員研修は階層別研修はもちろんのこと、日ごろの会話やグループウェア上でのやりとりでも、「自立と議論が大切だよね」といったやりとりが行われています。
一方で、自発性、自立性を持った社員を育てるために、人事のみなさんから「自立と議論が大切だよね」といった強いメッセージを発信すると、社員のみなさんからは「上から目線だな」といった反発があるかもしれません。その場合は、まず、心理的安全性を高める活動を行っていくといいかもしれませんね。
自ら道を切り開く「モチベーション」を高める
自ら道を切り開き、周囲を巻き込みながら形にしていくためには、動機付けの源泉となる、社員の「モチベーション」も大切ですね。
モチベーションを社員、自らの力で管理するために、サイボウズでは「モチベーション創造メソッド」という手法を用いています。
モチベーション創造メソッドは、自分が「できること」、社内の「やるべきこと」、いま、あるいはこれから「やりたいこと」を洗い出して、以下のようなベン図で示したものです。
「できること」「やるべきこと」「やりたいこと」の3つの重なりが大きくなればなるほど、社内における価値や、社員自身のやりたいこととの紐づけができ、モチベーションが上がるという考え方です。
モチベーション創造メソッドは、
- 社内の「やるべきこと」を、自分の「できること」で行う
- その結果、周囲から「ありがとう」と言われ、うれしい気持ちになる
- うれしい気持ちになると、「もっとチャレンジしたい」という気持ちがわいてくる
- できることが増えると、次第にやりたいことが見えてくる
- その結果、長期的な理想を描くことができ、モチベーションが維持できる
というステップを踏んでいきます。
論理的な考え方のため、この考えは社員の中で共有しやすいとともに、定期的に振り返ることによって、社員一人ひとりの成長や成果の振り返りにもなるでしょう。
特に、若い社員の方に効果的です。チーム内で役に立ち、感謝されることで「もっとやっていいんだ」という自信や向上心につながるでしょう。うれしさが楽しみにもなり、自発的・自立的な行動の原動力となります。
詳しくは、モチベーション創造メソッドを解説したページもご覧ください。
「自ら道を切り開く力」を身に着け、チームで時代の荒波を乗りこなそう
冒頭でも触れた通り、いまは変化が早く「これが正解」という明確な答えがない時代です。このような時代には、課題を解決するための解決策を上司1人が考え、指示するのは上司も大変です。
社員一人ひとりが「自ら道を切り開く力」を身に着け、モチベーションを自身で維持・管理しながら、仕事に取り組んでいけること。そのような、自発的・自立的な人材がいるチームは強いでしょうし、それぞれの強みを発揮できれば、どんな時代の荒波でも、楽しく乗りこなしていけるはず。
それが、チームで仕事をする楽しさなのではないかと思います。
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著者プロフィール
竹内義晴
チームワーク総研とサイボウズ式編集部の兼務。新潟でNPO法人しごとのみらいを経営しながらサイボウズで複業しています。「2拠点ワーク」「週2日社員」「フルリモート」というこれからの働き方を実践しています。