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モチベーション創造メソッドとは?――「やる気」のセルフコントロール

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「最近、なんとなくモチベーションが低いな」「もっとモチベーションを上げたいな」――このように思ったことは、誰もが一度はあるのではないでしょうか。それだけ多くの人が、モチベーションは高いほうがいいと思っているし、モチベーションをうまくコントロールできたらいいなと思っています。

また、チームとしても、モチベーションが高い人が集まっていた方が、仕事に前向きに取り組めそうですし、仕事の成果にもつながりそうです。

そこで、この記事では、サイボウズで用いている社員のモチベーションをセルフコントールする方法「モチベーション創造メソッド」についてお話します。

モチベーションとは何か?―2つの「やる気」

ところで、そもそもモチベーションとは何なのでしょうか?日本語では「やる気」と言われることが多いですね。

ただ、一言で「やる気」と言っても、いくつかの種類がありそうです。

例えば、お酒を飲みすぎてしまった二日酔いの朝は、なんとなくやる気が出ません。風邪気味など体調不良のときもそうです。逆に、お気に入りの洋服を着ているときや、夜、仲の良い旧友と久しぶりに会う約束があったりするとワクワクします。

このように、外的な要因や体の状態によって、上がったり下がったりする「やる気」があります。

一方で、外的な要因というよりも、「やりたいことがある」「目標がある」「夢がある」「理想がある」のように、心の内側から湧き上がってくるような「やる気」もあります。理想を実現するためには、ときに困難な場面もありますが、それを乗り越えさせてくれるほどの強いやる気です。こちらはあまり上がったり下がったりせず、期間も中・長期的です。

サイボウズでは、前者のやる気を「テンション」、後者のやる気を「モチベーション」と区別しています。改めて、テンションとモチベーションの特徴を挙げましょう。

テンション

  • 外的な要因によって生じる気持ちの抑揚
  • 短期的、一時的
  • 上がったり下がったりする
  • テンションが上っても、モチベーションは上がらない

モチベーション

  • 内面的、精神的に湧き上がってくる
  • 中・長期的
  • 短期的に上がったり下がったりはしない
  • モチベーションが上がると、テンションも上がることがある

モチベーション創造メソッドは、テンションよりもモチベーションに働きかけます

モチベーションは「理想を実現するためのやる気」

テンションとモチベーションが区別できたところで、改めて「モチベーションとは何か?」を定義しておきましょう。モチベーションとは「理想を実現するためのやる気」と、サイボウズでは定義しています。

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モチベーションを高めるためには、「強いやる気を引き起こす理想を作り出すこと」が大切です。言い方を変えると、モチベーションが低いときは、「強いやる気を引き起こすだけの理想が作り出せていない状態」とも言えます。

たとえば、「英語を話せるようになりたい」は、多くのビジネスパーソンが一度は描いたことがある理想ではないでしょうか。けれども、実際には「私は英語が話せます」と自信を持って言える人はそれほど多くありません。

その理由は、「英語を話せるようになりたい」という理想の強さが、なんとなく「英語が話せたら格好いいな」くらいで、「私は絶対に英語を話せるようなるぞ!」という動機づけになるほど、強い理想ではないからではないでしょうか。

また、英語を話せるようになった結果「何をしたいのか」「どうなりたいのか」といった、その先の目標がないことも、行動が継続しない理由の一つです。

つまり、モチベーションを高めるためには、どのようにして「強いやる気を引き起こす理想」を定義するかがカギと言えそうです。

内面的なやる気を育てる「モチベーション3点セット」

「強いやる気を引き起こす理想」を定義するために、サイボウズでは、社員一人ひとりの「やりたいこと」「できること」「やるべきこと」の3つが重なる理想となるよう、成長を支援しています。これを「モチベーション3点セット」と呼んでいます。

では、それぞれについて説明しましょう。

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やりたいこと

自分の内面から生じた「やりたいこと」です。

しかし、「やりたいことは何ですか?」と質問されたとき、すぐに答えられないことも多いものです。また、仮にあったとしても「これが、本当にやりたいことなのか分からない」という場合も少なくありません。

例えば、先ほどの「英語が話せるようになりたい」も、「これからはグローバルの時代だ」「英語ぐらい話せたほうがいい」などの理由で、「英語、話せるようにならないとな」「話せるようになりたいな」のように「やりたいこと」を設定する場合も多いものです。しかし、この場合、「強いやる気を引き起こす理想」にはならないでしょう。

「私はこれをやりたい!」と、内面から思える理想であることが大切です。

できること

「できること」とは、スキルのことです。知らないことは学べばいいし、練習すれれば上達します。仮に今、理想となるスキルが無くても、訓練すれば少しずつ増やすことができます。

やるべきこと

「やるべきこと」とは、「チームの理想」であり、「周りから期待されていること」です。

仕事とは「やるべきこと」を「できること」で実行すること

ところで、ここで「仕事とは何か」というお話をさせてください。サイボウズでは、仕事とは「やるべきことを実行すること」としています。会社というチームに所属している限り、「やるべきこと」は必ず存在するでしょう。

例えば、プログラマーなら、情報システムの設計や開発、テストなど、チームとして「やるべきこと」や、周囲から「これをやってほしい」と言われていることがあるはずです。それに対して、自分ができることで実現すること。それが、プログラマーが会社に所属している際の役割です。

チームの同僚や顧客が「これをやってほしい」と望んでいること(やるべきこと)を、自分のできることで実現する......すると、給与としてお金がもらえます。これが「商売の2点セット」です。

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モチベーションを高めるためには?

「やるべきこと」を「できること」で実行すると、お金がもらえます。かつ、それが「やりたいこと」だったら一番いいですよね。

モチベーションを高めるには「やりたいこと」「できること」「やるべきこと」の3点セットの重なりを増やしていくことを意識します。、こうすることでモチベーションを自分でコントロールすることができます。

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今ほど、モチベーションを高めるためには、「やりたいこと」「できること」「やるべきこと」の3つの重なる部分をコントロールするとよい......というお話をしましたが、実際には「やりたいことがない」または「わからない」という人もいるでしょう。

また、上司や同僚から「これ、やってください」と言われ、やろうと思えばできるけれど、本当はやりたくない。けれども、「仕事だから」という理由でしぶしぶやらなければならないときもあるはずです。仕事をすることによってお金をもらうことはできますが、「仕事をしていて楽しいか?」「幸せか?」と問われると......疑問です。

その場合は、「できることを増やす」ことを念頭に置くとよいでしょう。

「できること」が増えると周りから信頼され、「○○さんに□□をやってほしい」と周りから期待されるようになります。そして、「やるべきことを」「できること」で実行すると、「ありがとう」と言われます。

また、「できること」が増えると、仕事に対する経験や判断力が養われるため、自立することができます。自立するといろんな仕事ができるようになり、選択肢が増えます。

さらに、選択肢が増えると「この中では私はこれをやりたい」と選べるようになり、主体性が増します。主体性が増すと「今度は○○に取り組んでみたい」という新たな理想が生まれて、モチベーションが高まります。

このように、モチベーションには「高まるサイクル」があります。

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なお、「やりたいこと」を行う際には、チーム内での合意が必要です。なぜなら、チームには、それぞれの人に役割があるからです。

例えば、前出のプログラマーが、「顧客と直接関わりたいのでコンサルタントになりたい」のように、やりたいことを見つけることはとてもすばらしいことです。しかし、「では、明日からどうぞ」とはいきません。なぜなら、仕事にはそれぞれの人の役割があるからです。

まずは、チームの中での「やるべきこと」を「できること」で役割を果たす。そして、「やりたいこと」を実現するために、チーム内で合意を取りながら取り組んでいく――チームの中で「やりたいこと」を実現するためには、このようなプロセスを踏む必要があります。

「理想マップ」でチームの理想とリンクさせる

「やりたいこと」(理想)を体系化するためには、「理想マップ」を使うと便利です。個人の理想を、チームの理想と紐付けるとともに、「それを実現すると、未来はどうなるか」という視点を持つことができ、はっきりとした目的と、強い理想を描くことができます。

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理想マップは、横軸に「継続期間」、縦軸に「適用範囲」で表します。

継続期間は、1年後、3年後、5年後、10年後、30年後のような中・長期的視点で「どうなっているか」を整理します。適用範囲は、継続期間に対し「会社」「組織」「個人」のように、適用する範囲で理想を細分化し、目標を整理します。

例えば、サイボウズの理念は「チームワークあふれる社会を創る」です。理念の実現に向けて、まずは継続期間を考えます。30年後の理想は「チームワークに貢献すること」。そこから、10年後、5年後、3年後、1年後、どうなっていたいのかをイメージし、それぞれの中・長期的な理想を考えます。

次に適用範囲です。会社には、営業本部、運用本部、開発本部など、さまざまな組織があります。会社の理想をブレイクダウンし、それぞれの範囲における理想を決めます。

さらに、ブレイクダウンして個人の理想に落とし込みます。会社や組織の理想に照らし合わせたときに、自分は1年後、3年後、5年後、どのようなスキルを身に着け、どのような理想を実現したいのか?さらに、中・長期的な視点で「こうなりたい」という理想を考えます。

なお、理想を実現する上で、「期間」と「高さ」の実現可能性を考慮することも大切です。

例えば、「英語を話せるようになりたい」という理想が、50歳になったときなのか、30歳なのか、1年後なのかでは、取り組む課題も変わってくるでしょう。また、理想が高すぎるとモチベーションは維持しにくいため、日々実践できるような「目の前の目標」まで落とし込むと、行動に移しやすいです。

「目の前の理想」を一つ一つクリアしていくと、「できること」が増えます。できることが増えると新たな目標が見えて、新たな「やりたいこと」が見えてきます。そして、自分の「できること」から取り組みましょう。

サイボウズにおける組織運営と個人のモチベーション

これら、社員個人のモチベーションの創造とコントロールについて、サイボウズではグループウエアを活用し、社員が「できること」や「やりたいこと」、会社として「やるべきこと(やってほしいこと・取り組んでほしいこと)」を自由に書き込み、共有できるようにしています。募集している職種には、自由に手を挙げることができます。

また、配属や部署移動を希望する社員がいたとき、適正を議論し、判断するための共通のフレームワークとして、モチベーション3点セットを使っています。

例えば、ある社員から「○○がやりたいです」という意見が出てきたとき、ただ、「まだ早い」「もっと営業してほしい。そのほうが、チームとしてのパフォーマンスが高まる」といった議論では、異動を希望する社員の納得感が生まれません。

しかし、「やるべきこと」「できること」「やりたいこと」の3つが重なっているかがわかると、「必要なスキルがあるのか」「そもそも仕事があるのか」などが判断しやすくなります。そして、「半年ぐらいを目指して、このスキル磨きましょう」といったコミュニケーションをするためのツールとして利用しています。

このように、社員のやりたいことが実現でき、成長ができるよう制度を仕組み化しています。社員の自己実現や成長を支援する制度の具体的な設計や運用については、【人事部門研修】風土をつくる制度と評価でご案内しています。

社員一人ひとりのモチベーションを高めるのは、多くの企業にとって課題です。そのためには、まず、何が「やるべきこと」で、何が「できるのか」を把握する。そして、「できること」を増やしていく。すると、チームの中でできる仕事が増え、周囲から信頼されます。その結果、「やりたいこと」へとつなげることができます。このプロセスを循環させていくことで、「チームワークあふれる会社」が創られていきます。

つまり、モチベーション創造メソッドは、社員一人ひとりの成長を支援するメソッドなのです。

著者プロフィール

竹内義晴

チームワーク総研とサイボウズ式編集部の兼務。新潟でNPO法人しごとのみらいを経営しながらサイボウズで複業しています。コミュニケーションの専門家。