生きたい場所で気持ちよく生きようーー第0回「移住フェス」レポート
※ベストチーム・オブ・ザ・イヤーのサイトから移設しました
9月28日(日)、サイボウズ本社にて「移住フェス 第0回」が開催されました。雲ひとつない秋晴れの中、地方・地域での暮らしに興味のある約100名もの人が来場し、終始大いに盛り上がったイベントの模様をお届けします。
「移住フェス 第0回」の流れ
1.アイスブレイク
2.各団体挨拶
4.ワークショップ
5.まとめ
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みんなが主役の「移住フェス」――アイスブレイク
「移住フェス」を企画した「エリアル」は、ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会が昨年主催した「社会を変えるチームを創造するフューチャーセッション」から生まれた団体です。
今回、司会を務める「エリアル」の東 信史さんは「今日は移住や地方での暮らしについてリアルな声を聞きながら、『自分らしく生きるための選択肢』として考える会にしたいと思っています。"フェス"なので、みなさんいっしょに盛り上げて行きましょう!」と挨拶しました。
まずは、近くにいる人と自己紹介タイム。
「東京生まれ、東京育ちですが、東京以外に住んでみたいと思っていて、そのきっかけづくりに来ました」という方や、「山梨県出身ですが、あえてUターンではなく、違う地域に住んでみたいと思っていて、いろんな地域のことを知りたいと思って来ました」なんて方もいたりして、来場された理由は様々。 今年発表された内閣府の調査では、20代の約40%が 「田舎に住みたい」という結果が出ているだけあって、移住への興味・関心が高まっていることは、間違いないようです。
全国から集まった個性豊かな協力団体――各団体挨拶
アイスブレイクのあとは、協力団体の紹介です。
・エリアル
オンラインメディアや既存コミュニティを活用し、都会から地方へUターン/Iターンしたい人・している人をつなぎ、エリアのリアル(=エリアル)を知ってもらうことで、自分の住みたい場所を自由に選べる人を増やす活動をしている。いろんな人たちと協力しながら、移住したい人たちの舵取りができれば。(東さん)
自身もIターンで5年前に京都に移住。「居・職・住」の3つをテーマに、月1で京都に住んでいる人と住みたい人が出会うリアルイベント「移住サロン」を企画したり、求人メディアを運営したりしながら、経験者の立場から、京都へ移住するサポートをしている。(タナカさん)
関東在住の学生や社会人を中心に昨年の夏発足し、昨年末には渋谷ヒカリエで「四国1000人若者会議」を開催。「四国出身の若者や四国に興味のある若者が、気軽に集まれる場」「ひとりでも多くの人が四国のヒト・モノ・コトと繋がれる場」「田舎と関わりながら生きる方法を若い人たちが知れる場」を提供している。今年は12月20日(土)に恵比寿で開催予定。(岡さん)
株式会社リクルート じゃらんリサーチセンターから長野県小布施町の町役場に2年間出向し、永住・移住促進を担当している。小布施町は長野県で一番小さい町でありながら、多くの観光客が訪れる「栗・北斎・花」の町。住民が町づくりに主体的に参加しながら、地域を守っている。小布施町のおもしろさや、外から見た小布施町の現状をご紹介したい。(大徳さん)
「東北 食べる通信」という食べ物がおまけに付いてくる情報誌を月額1980円で発行。地方の生産者と都市の消費者をダイレクトで繋ぐ「パスポート」になっている。「食べる通信」は、四国と東松島など全国各地で発行され始めており、東北から始まったこの活動を通じて、全国の食に携わる人たちと都市の人たちを巻き込んだムーブメントにしていきたい。(高橋さん)
福岡で生まれ育ち、15歳で上京。震災をきっかけに福岡へ帰ったが、結局去年東京に再び戻って来た。移住にはキラキラしたものだけじゃなくて、どろっとした部分もある。Uターン失敗組として、リアルな移住体験談をお話したい。これからは東京都拠点としながら、多拠点で活動する方法を思案中。(加生さん)
・東京ツドイエ
東京を生きながら、地方を想いコトを起こす越境者のためのコワーキングハウス。2014年秋オープン予定。
憧れだけでは暮らせない移住の現実を知りたい――オンライン&リアル交流
次は、6つのグループに分かれて、オンライン&リアル交流会のスタートです。みなさん自分の興味のある地域の部屋へ移動します。参加者の方もみなさん積極的に質問や発言をされて、どの部屋も活発に議論が巻き起こっているのが印象的でした。
<四国>四国若者1000人会議 代表理事の瑞田信二さんとオンライン交流
大学卒業後、一度東京で就職した後、香川にUターンした瑞田さん。リアルな経験談に、みなさん興味津々。立ち見が出るほどの人気ぶりで、早くから活発な議論が繰り広げられていました。
<京都>京都移住計画のタナカユウヤさんとリアル交流
京都からおみやげを持参して、おもてなしをするタナカさん。中には、すでに京都へ移住を決めている方もいて、仕事やつながりの作り方など、具体的な不安について、親身に相談にのっていました。
<小布施>小布施若者会議の大徳孝幸さんとリアル交流
小布施の魅力について熱く語る大徳さん。一方、外から入った人間だからこそ見える問題もあるのだとか。真剣かつ冷静に町づくりと向き合う大徳さんの話に、多くの方が夢中になって耳を傾けていました。
<多拠点>加生 健太朗さん
「移住が幸せにしてくれるわけではない」と強調する加生さん。都会のしがらみから逃れるために他者依存的に移住するのではなく、自分から新たなつながりを求めて、ほどよい計画性と自発性を持つことが大事だと言います。「多様な依存先を持って自立した移住をすれば、楽しく生きられるはず」というメッセージに、深くうなずく参加者のみなさんでした。
リアルな移住を共有しよう――ワークショップ
再び全員で集まり、1時間のオンライン&リアル交流の中で、どんな気付きがあったかをエリアごとに発表します。
<広島>
広島の「安芸太田町地域おこし協力隊」の河内さんと、広島市内でコワーキングスペースを営むエリアルの市川さんとオンライン交流した結果わかったことは、"現状、仕事はない"、"地元の人たちがあまり困っていなくて焦りがなく、ギャップを感じる。友好的な人もいれば、税金泥棒と思っている人もいる"という現実。よそ者が地域に深く入り込む難しさを伝えてくれました。
<東北>
NPO法人 東北開墾の高橋さんとともに、岩手移住計画(仮)の手塚さんとオンラインで交流した東北チーム。みんな仕事にフォーカスしてUターンやIターンをするけれど、「誰とつながるか」というのが、かなり重要とし、被災地支援で入った人たちがみんな孤独だったというリアルを共有。コミュニティの重要性について話してくれました。
移住はひとつの選択肢。生きたい場所で生きられるように――まとめ
最後に、本日のまとめとして、株式会社フューチャーセッションズ 野村さん、サイボウズ株式会社 椋田さん、主催のエリアル 東さんから総括がありました。
<野村さん>
「ここに来るまで、東京の一極集中を変えるために移住を促進しなければいけないのかと思っていましたが、そうではなく"それぞれの人が自分の生きたい場所で生きる"というのが大切なのだと気付かされました。ひとりひとりが自分の生きたい場所はどこだろうと考えることで、もっと日本の地域と地域が繋がっていけば素敵だなと。ぜひ今日のような場が続いていくことを願っていますし、僕自身も熱心に進めていきたいと思っています」。
<椋田さん>
「仕事のことを考えると、すぐに地元に戻るのは難しいけれど、自分ができるところから何かを始めたいと思っている人は多いんじゃないかと思っています。移住フェスが"人生の選択肢を考える場のひとつ"となり、これからどんどん広がりを持っていけるよう、チームを応援するサイボウズとして、今後もみなさんといっしょに盛り上げていきたいと思っています」。
<東さん>
「移住フェスは、みなさんひとりひとりが主役になれると、改めて気付きました。移住はあくまでもひとつの選択肢。自分らしいライフスタイルをみんなが見つけられるよう、これからも僕らはリアルを繋いでいけたらと思います。また、第1回でお会いしましょう」。
大盛況の中、閉幕となった「移住フェス 第0回」。終了後も活発な交流が繰り広げられ、会場は熱気に包まれていました。
移住は単に「移り住めばいい」というわけではなく、"仕事""居場所""人とのつながり"といった、人が生きるために欠かせないところを見据えて、ある程度は準備しておく必要があるというのが、経験者のみなさんに共通した認識でした。「移住=自分の生きたい場所」について考えることは、人生そのものを見つめ直すことだと言えそうです。
幸せな移住についてみんなで考える「移住フェス」、次回の開催をどうぞお楽しみに!
社会を変えるチームを創造するフューチャーセッション
「移住フェス」は、ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会の "U35歳の若手ビジネスパーソン向けワークショップ"「社会を変えるチームを創造するフューチャーセッション」から生まれた企画です。実行委員会は、チームを表彰する活動のほか、チームを生む活動、チームワークを教える活動などを行っています。
新世代リーダーによる社会を変えるチームを創造するワークショップ「社会を変えるチームを創造するフューチャーセッション」にご興味のある方はこちらにご登録ください。次回の開催が決定次第連絡いたします。
(執筆:野本纏花)
著者プロフィール
ベストチーム・オブ・ザ・イヤー
ベストチーム・オブ・ザ・イヤーは、2008~2016年の間、最もチームワークを発揮し、顕著な実績を残したチームを、毎年「いいチーム(11/26)の日」に表彰したアワードです。