あなたの小さな覚悟こそが、社会を変える大きな力になる――次世代チーム創造フューチャーセッション総括
※ベストチーム・オブ・ザ・イヤーのサイトから移設しました
存在するだけで日本にインパクトを与え、社会を変えるチームを創りたい――アツい思いを抱えて集まった「社会を変えるチームを創造。次世代リーダーフューチャーセッション」。2014年3月15日、最終回となる第4回では、「好き」という気持ちに端を発して結成したチームが、「チームのこれから」を力強く発表しました。大きく成長を遂げた"存在共感チーム"は社会を変えられるか――。(開催場所:イトーキ東京イノベーションセンター「SYNQA」)
第4回フューチャーセッションの流れ
1.チェックイン
3.フィッシュボウル
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存在共感チームは多くの人々の行動を促す――チェックイン
冒頭のプログラム「チェックイン」では、ファシリテーターを務めた野村恭彦さん(株式会社フューチャーセッションズ)が「存在するだけで日本にインパクトを与えるチームは、その思いが問題の所在を可視化させ、多くの人の行動を促せます」と、存在共感チームとしての在り方を改めて意識させてくれました。
続いてゲストの登場です。イトーキ・松井正代表取締役社長、本部久雄マーケティング部長、サイボウズ・青野慶久代表取締役社長、READYFOR? キュレーター 納谷春菜さんの4名が応援に駆けつけてくれました。
前回も参加し、有益なディスカッションを導いてくれた納谷さんは、「前回は厳しい意見をお伝えしましたが、今日はワクワクするような発表を楽しみにしてきました」と語りました。
崩壊しかけたチームが語る「失敗談から導き出すチームの在り方」――プレゼンテーション
続いてプレゼンテーションの時間です。1チームに与えられた時間は15分。発表時間は8分で、残り時間で発表を聞いた感想を各自で話し合います。チームごとに概要をご紹介します。
30歳からの働き方Reデザイン
「現在の働き方に問題意識を持つ30代前後の人々に、ワークショップなどを通じて各自の理想とする働き方の設計や実行、応援し合える仲間づくりを支援します!」
メンバーの中村さんは「自分自身の働き方をREデザインをしている最中です。メンバーたちとの活動がきっかけとなって、自分の夢に向かって一歩動き出すことができました」と振り返ります。
エリアル
「オンラインメディアや既存コミュニティを活用し、都会から地方へUターン/Iターンしたい人・している人をつなぎ、エリアのリアル(=エリアル)を知ってもらうことで、自分の住みたい場所を自由に選べる人を増やします!」
エリアル ~エリアのリアルを届けるオンライン中継メディア~Share Life Project
「『地域猫』活動。猫を介し、ソーシャルメディアやイベントを通じて気軽な情報発信をすることで、子猫の殺処分を減らす活動への賛同者を増やします!」
世界におんおくり
「スリランカでの観光商品の企画立案や富裕層向けリゾート開発プロジェクト、進出準備企業向けのコンサルを行い、世界に対して恩返しをします!」
アシュラワーク
「ワークショップを通じて各自の強みと弱みを知り、どんな状況でも働きやすい自分にシフトできる人を応援します!」
IRie(アイリー)
「次世代の若者たちに向けてワークショップを展開し、マインドセットを変えて楽しく働いてもらうためのサポートをします!」
シェブリオ
「もっと読書したい大学生、社会人に本をシェアし届けるための組織『シェブリオ』。誰もが自発的にシェブリオを運営できる仕組みづくりを行います!」
シェアでつながる本と人!シェア読書会Shablio(シェブリオ)
spark
「子どもたちにスポーツを教える場を提供したり、将来的にはスポーツアカデミア構想に取り組んだりすることで、スポーツを通じて世代を超えたコミュニティを作ります!」
シェアビレッジ
各チームともに4ヶ月間の活動のすべてを出し尽くしてくれました。ところで、最後の1チーム「シェアビレッジ」からは意外な言葉がありました。
「地域のセンシティブな問題に深く関わるための覚悟が、自分たちには足りていなかったなと感じています。プロジェクトへの当事者意識が持てず、結果的にメンバーが次々と抜けて、いまや崩壊寸前のチームです。ここでは失敗談を皆さんに共有したいです」
現在残っているメンバーが自らの失敗から見出した「チームとして活動する上で必要なこと」を語ってくれました。
自分ゴトとして考える
「自分と直接関わりのない地域の活性化プロジェクトを成功させるには、『地域に何かしてあげよう』というおこがましい気持ちではなく、自分の内面に起こる変化をモチベーションにしながら関わるべきでした。自分ゴト化しなければプロジェクトに興味・関心を持つことはできません」
コミュニケーションを大事にする
「第2回、第3回との間に1ヶ月ほど期間がありましたが、メンバーが集まることはなく、明らかにコミュニケーション不足でした。最後の1ヶ月は3回ほど集まって有意義な時間を過ごし、ぐっと仲が深まった印象があります。その時点で情報が大量にあふれ始めたので、顔をあわせて対話することの大切さを実感しました」
チームにはリーダーが必要
「私たちのチームはリーダー不在でした。メンバー各々の役割分担も必要ですが、チーム内で皆が共感できるようなリーダーの存在は欠かせません」
上手くいかなくて悩んだからこそ出てきた実体験。各チームでプロジェクトを進める際に参考になる、重みのある言葉でした。
「シェアビレッジ」を含む、すべてのチームの発表の後にはあたたかい拍手があふれ、全員が存在共感チームとしてともに歩んできた軌跡がうかがえました。
リーダーにはなれる人は少なくても、リーダーシップは誰もが持てる――フィッシュボウル
発表後はゲストと野村さんの5人に加え、参加者の中から2人が入れ替わり立ち代り加わる形でフィッシュボウルが行われました。「プロジェクトの意義とは何か」との問いに対し、「社会を変える力」「リーダーシップ」などの視点で語り合います。
社会を変えるための真の覚悟や犠牲を厭わない勇気があるか、最終的にビジネスとしてリターンが生まれるか――経営者としてはその2点で発表を聞いていました」(イトーキ 松井社長)
「マハトマ・ガンジー氏をご存知でしょうか。彼は何度となく牢獄に放り込まれましたが、まるで命を失うことすら恐れていないように見え、その姿から強烈な覚悟を感じます。覚悟を決めた人の周りには人が集まり、やがては大きな流れを作ります。私自身はそのことに気づくまでに時間がかかりましたが、命をかけた瞬間に重みが伝わり、確実に何かが変わるんです」(サイボウズ 青野社長)
話は「やりたいことを実現するための覚悟」をテーマに進んでいきます。
「今回チームでプロジェクトを行うにあたり、職場の仲間や友人に宣言しました。そうすると皆の期待を裏切らないためにも、途中でやめることはなくなりますし、続けた結果、支援者も増えました。今日のプレゼン資料を作るために、初めて仕事で丸1日お休みをいただきました。これも小さいことかも知れませんが、私自身の中での覚悟でした」(30歳からの働き方Reデザイン 山野さん)
「世界中の誰が見ているかわからないところにプロジェクトを出すのは怖いこと。思いを伝えられるだけでも覚悟を感じますし、各自のステータスによって覚悟の種類は異なるはずです。小さな覚悟の積み重ねが日本を動かしていくのだと思います」(ReadyFor? 納谷さん)
話題は「リーダーシップ」にも及びました。
「リーダーシップやチームの在り方は、リーダーがしっかりしなくてはという、古いモデルに基づいています。それよりも、一人ひとりがリーダーシップを発揮することが大事」(野村さん)
「実は誰でもリーダーシップを持てます。リーダーとリーダーシップはまったく異なるもの。『変えるのは難しい』と思っても『もしかしたらいけるのでは』という気持ちに切り替えると、やがてはその思いが世の中を動かします」(青野社長)
やりたいことと根底から向き合うと覚悟が生まれる――みんなの感想
白熱したフィッシュボウルの次に、みんなでひとつの輪を作り、4ヶ月間にわたって参加したフューチャーセッションに関して、1人ずつ感想を述べていきます。いくつかの声を拾ってみました。
・参加する前と今とでは気持ちが大きく変わった
・自分にはリーダーの素質はないけれど、リーダーシップなら発揮できると感じた
・自分がやりたいことの根っこに辿り着いたときに覚悟が生まれてくるのだと思う
・覚悟を持つためにはやりたいことを自分ゴト化して考えることが大切
・お互いに多様性を認め合える空気感を大切にしたい
・チーム同士でコラボの可能性も見えた。ONEチームとして活動を継続したい
・ともに高め合える仲間と出会えたこの場に感謝している
完成度が高い2チームを選出――表彰・チェックアウト
最後に2チームに賞が贈られました。「イトーキ賞」にはShare Life Project、「サイボウズ賞」にはエリアルが決定。チームで喜びをかみしめる様子が印象的でした。
「次世代リーダーフューチャーセッション」は4回で終わりではありません。チームの未来を発表したこの日こそ、チームとしての活動を本格的にスタートする日。5月頃には再びONEチームで集まり、活動の模様を報告し合うことも予定されているのでお楽しみに。
本セッションはひとまず一段落しましたが、各チームに共感する参加者を「次世代リーダーフューチャーセッション」は求めています!
著者プロフィール
ベストチーム・オブ・ザ・イヤー
ベストチーム・オブ・ザ・イヤーは、2008~2016年の間、最もチームワークを発揮し、顕著な実績を残したチームを、毎年「いいチーム(11/26)の日」に表彰したアワードです。