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「年上の部下」へのマネジメント、必要なのは「敬語」よりも「傾聴」と「適切な関与」

企業や組織のチームワークや、自律型組織づくりを支援するサイボウズ チームワーク総研では、年下の上司1,500人、年上の部下1,000人を対象に「年上の部下へのマネジメント」に関する意識調査を行いました。


《 調査概要 》

◆調査目的:年功序列型の組織形態が変化する中、年下の上司と年上の部下の関係性を探り、マネジメント支援の参考とする。

(図表1:出現率調査)
・30-50代会社員(役員、派遣社員、契約社員を除く):3,000名*割付なし

(図表2-7)
・部下に年上の正社員がいる30-50代ミドルマネージャー(課長〜部長職相当):1,500名
・上司(課長〜部長職相当)が年下である50代正社員(職位不問):1,000名
 *割付条件:就業実態に寄せるため、勤務先の従業員規模で割付
       加えて年上の部下層では、男女別、年齢別で割付

          - 総務省統計局「令和3年経済センサス活動調査」「平成29年就業構造基本調査」参照

◆調査期間:2023年5月24日(水)~29日(月)
◆調査方法:パネルを活用したインターネット調査


現在、30-50代会社員のうち、「直属の上司が年下」である人は約20%。従業員数2,000人以上の大企業では、30%近くに達しています【図表1】。今後、年功序列から成果主義へのシフト、定年の延長によるシニア社員の増加などで、上司が年下であるケースはさらに増える可能性があります。サイボウズチームワーク総研では、「年下の上司」と「年上の部下」との関わりを調べ、マネジメント支援のための視点を探りました。

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《 調査結果のサマリ 》

年下の上司と年上の部下、
ともに76%が「相手との仕事はやりやすい」と回答
年下の上司は「仕事への信頼」、年上の部下は「接しやすさ」が理由

年下の上司に対しては、年上の部下との「仕事のやりやすさ」を、年上の部下に対しては、年下の上司との「仕事のやりやすさ」を聞きました。結果、ともに76%が「やりやすい」と回答しました【図表2】。

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「やりやすい」理由を、年下の上司、年上の部下それぞれに聞き、同じ選択肢から回答してもらいました。年下の上司側の上位3位を見ると、年上の部下は「仕事を任せられる」「相手が聞く耳を持っている」「相手のスキルや経験が十分」となり、仕事への信頼に関わる理由が見られます。

一方、年上の部下側では、年下の上司は「相手に上から目線がない」「相手が聞く耳を持っている」「相手が話しかけやすい雰囲気」という意見が上位となり、接しやすさ・相談しやすさに関わる理由が上位となりました【図表3】。

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年上の部下へのマネジメント、
「敬語・丁寧な言葉遣い」は、年下の上司が思うほど求められていない
年上の部下が最も必要視するのは「部下の話を聞く」こと

年上の部下へのマネジメントに必要と思うことを聞きました。年下の上司側の意見で最も多く上がったのは「敬語・丁寧な言葉遣い」41.9%ですが、年上の部下側では27.7%に留まりました。

一方、マネジメントされる側となる年上の部下側では、「部下の話を聞く」が43.2%と最多になりました。次いで、「適切な判断と意思決定」「部下のミスのフォロー」といった「適切な関与」が、マネジメントに必要という意見が上位となりました。これに、年下の上司が「年上の部下に実際にしていること」とした回答結果を重ねると、いずれも10%以上の差が見られ、実態が追いついていない様子がうかがえます【図表4】。

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年下の上司は「年上の部下の固定化した価値観」「チームの人間関係」に苦労

年下の上司に対し、「自身が年下の上司で、苦労したこと」を自由回答で聞いたところ、「年上の部下の固定化したやり方・考え方」「年上の部下に気を遣い、伝え方が難しい」「年上の部下と他メンバーとの、関係調整」といった意見が見られました【図表5】。

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また、「年上の部下の価値観は、なかなか変わらない」「年上の部下は、所属チームの人間関係に置いて気を遣う」という意見について、年下の上司の過半数が「そう思う」と回答しました【図表6】。

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年上の部下には、チームの屋台骨としての期待

年上の部下に関する意見を、年下の上司、年上の部下、両者にききました。年下の上司の回答では「若い人の手本となるべき」80.8%、「所属チームのパフォーマンス発揮の主力となるべき」74.6%、「あれこれ指導しなくても、自走して成果を出すべき」73.2%、「上司に適切な助言やアドバイスをするべき」62.7%と、いずれも高い傾向となりました。

年上の部下の回答でも、同様の傾向を示しており、上司部下ともに、年上の部下への期待がみられる結果となりました【図表7】。

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まとめ

一昔前であれば、「年下の上司」というと、珍しい存在であったかもしれません。しかし現在「年下の上司」は、決して特殊な存在ではなく、すでに顕在化しており、今後さらに増える可能性もあります。皆さまの企業組織ではいかがでしょうか。

今回の調査では、年下の上司による「年上の部下へのマネジメント」にフォーカスを当て、両者の関わりを調べました。その結果、現状8割近い人が、年上の部下あるいは年下の上司と「仕事がやりやすい」と感じていることが分かりました。

「仕事がやりやすい」理由では、年下の上司側では「仕事を任せられる」ことなど、業務内容への信頼や質に関する回答が上位だったのに対し、年上の部下側では、「相手に上から目線がない」「相手が聞く耳を持っている」「相手が話しかけやすい雰囲気」となり、接しやすさ・相談しやすさに関わる理由が上位となりました。

また、「年上の部下へのマネジメントとして必要なこと」では、「敬語・丁寧な言葉遣い」が最多である年下の上司に対し、年上の部下では「部下の話を聞く」ことが最多となりました。 年上の部下としては、上司から丁寧な言葉遣いで接せられることよりも、話を聞いてもらうことや、「適切な判断・意思決定」「部下のミスのフォロー」といった「適切な関与」を求めていることが明確に分かりました。

年上の部下となる層は、40代から60代がメインと考えますが、今回の調査から年上の部下に対する期待は高く、決して黄昏れた存在とは捉えられていないことも分かってきました。一方で、年下の上司にとって、「年上の部下の強固な価値観」や「年上の部下と他メンバーの関わり」といった点が、苦労のポイントであることも明確になりました。

今回の調査では、お互いを敬う点や苦労点、相手に求める点が明示され、年上の部下へのマネジメントポイントが明確になりました。チームにおいて、上司/部下はあくまで成果を出すための「役割」です。成果を出すために大切なことは、年下の上司、年上の部下、お互いが同じ理想を共有し、それぞれの役割において今考えていることのすり合わせを繰り返すことです。


※セミナー開催情報

今回の調査を引用したセミナーを開催します。

タイトル:多様な人材を活かすチームマネジメントの極意──年上部下の能力を引き出す3つのポイント

開催日時:2023年8月9日(水) 12:05~13:00

詳細はこちらから


※引用について
本調査を引用いただく際は出所の明示をお願いいたします。
例)サイボウズチームワーク総研「年下の上司に聞く、年上の部下へのマネジメント調査」

著者プロフィール

三宅 雪子

チームワーク総研研究員・編集員。組織におけるチームワークを探求。働く人の強み・魅力を引き出し、人と人との関わりをチームの生産性へつなぐ道すじを探る。