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文化系トークラジオ Life プロデューサー直伝、非主流社員が会社で生き抜く7つの考え方

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※ベストチーム・オブ・ザ・イヤーのサイトから移設しました

「ガッツがあって、ノリが良くて、コミュニケーション能力も高い。そんなテレビ局のパワフルな雰囲気に圧倒されてついていけなかったんです......」


こう語る長谷川裕さんは、TBSラジオの人気プロデューサーです。テレビからラジオに異動し、今は名物番組「文化系トークラジオ Life」や「荻上チキ・Session-22」、「菊地成孔の粋な夜電波」のプロデューサーとして活躍していますが、入社当初は会社の空気になじめなかったとか。人事部長にまで「入る会社を間違えちゃったなあ」と言われたそうです。


ただ、長谷川さんは就職活動の段階から、自分はこの会社の王道の主流枠ではないだろうな、という意識はあったそうです。そんな長谷川さんが目指したのは、ちょっと変わっているけど存在意義のある「あいつはそういうやつ枠」の確立。「こいつはちょっと人とは違う」という評価がつくようになってきました。

主流ではない社員が会社というチームで自分らしく働くためにはどうすべきか? 長谷川さんに「非主流系社員が会社で生き抜く7のポイント」を教えてもらいました。


1.主流枠に入れないなら「ちょっと違う」枠で勝負する

テレビ局では体力・勢い・気合いをそなえた人が多く採用されます。30人中20人くらいはこうした「主流枠」なんじゃないかと思います。一方の僕は「非主流枠」の人間。端っこの方で本を読んでるのが好き、みたいな自分が競争が激しい主流枠では戦えないと思っていたんですね。

ただ、会社も人材の多様性を確保するために、主流とはちょっと違うタイプもある程度採用するんですよね。主流枠よりも枠は少ないですが、自分の得意分野で勝負できるんですよね。「こんなヤツいらないよ」と思われたらそれまでですが、苦手なことで勝負するよりも自分の強みで勝負したほうが勝ち目はあります

思えば就職活動のエントリーシートでも「こいつはちょっと違うヤツだな」と伝わる書き方をしていました。学生当時から、常に勝てる土俵を探していたのかもしれません。

2.主流枠のノリに無理してついていかなくてもよい

僕は子どものころから、クラスの主流からはちょっとにズレたタイプで、みんなでわーっと盛り上がったりするのが苦手でした。入社後に先輩たちが開いてくれた新入社員歓迎会でも、最後にカラオケでみんなで立ち上がって肩を組んで歌うことになったとき、ぼくは端っこの席で、膝の上で拳を握り締めながらずっとうつむいていたり(笑)。

いま思えば大したことじゃないんですけど、若い頃は同調圧力に対する抵抗感が強くて。先輩たちが「こっちに来て一緒に盛り上がろうぜ」って誘ってくれているのに、聞こえない振りをして拒み続けていたんです。こっそり周りを見回したら、ほかに2人くらい同じようにうつむいて耐えているヤツがいて、「ああ僕だけじゃないんだ」と。まあ傍から見ると、相当悲惨な状況だったかもしれませんね(笑)。

ただ、「主流枠」とか「非主流枠」とか言いましたけど、それもほとんど自意識の問題に過ぎなかったりするんですよね。こっちが勝手に相手を「主流枠」だと思っていても、相手はこっちを「非主流枠」だとか、特別意識していませんから。要は自分自身の生きづらさとどう折り合いをつけていくかということなんですね。

入社当時から20年近く経ちました。当初は「非主流枠」という意識が強烈にありましたが、今でも同じ会社で働き続けています。主流のノリについていけなくても、それなりになんとかやっていけるものなんです。

3.自分のプラスマイナスを収支計算できていますか?

人の評価は、プラスマイナスの収支計算で決まります。その計算方法は個人差があって、プラス要素とマイナス要素の総和で決める人もいれば、マイナス要素が一定数あったらそれででアウトという人もいます。また、どの要素を重視するかもそれぞれです。

人は誰もがマイナスな側面を持っていますから、それを補うためのプラスをどこでどう稼ぐかが大事です。会社で受ける評価だったら、上司の「収支計算ルール」を見極める必要があるんです。

ぼく自身は、マイナス要素がいくつもあると自覚していました。だから、トータルの収支がマイナスにならないよう、プラス要素の部分は人並み以上に頑張らないと、とは思っていました。また主流枠タイプならどこの部署でも評価されやすいですが、ニッチな非主流枠はその部署や、上司の価値観との相性が大事です。

だから「自分なりに結果を出しても、それがプラス評価につながらない」部署では、一向に評価はよくなりません。じゃあどうするか。自分のプラスが評価される場で働けるよう調整するんですね。明らかに向いていない部署にいたときは、上司に「手は抜きませんけど、でもこの部署は僕の資質とは違いますよね」と暗に伝えるようなことをやっていました。

4.「他の人がイヤなことが好き」と気づいたら伸びる

会社に入っても、すぐに自分のやりたいことがやれるとは限りませんよね。ぼくも制作の仕事に就くまで10年ほどかかりましたが、その間、必ずしも心の底からやりたい! と思える仕事をやっていたわけではありません。

例えば営業事務の仕事。外勤社員のサポートを2~3年担当していました。終日内勤でひたすら地味な仕事でしたが、不思議とイヤじゃなかったんです。「いかに仕事を効率的に進めるか」を考えて、勝手にシステムの改善をしたり、営業が持ってる番組枠を使ってミニコントを作ったり、勝手にやっていました。身をおいている環境を楽しんでいたんですよね。

なぜか?思い出すのは、昔の歓送迎会カラオケ事件です。みんなが楽しそうにしていることをなぜか極端に嫌がり、「他人と感覚がズレているのでは?」と思っていた自分の姿です。それでこう考えた。「逆にぼくは、他の人がイヤなことが案外嫌いじゃかもしれない」と。じゃあ、みんながやりたがらない仕事で自分にとっては嫌じゃないものを頑張ろうと決めたんですよね。

面白いことに、人が好きじゃない仕事を率先してやっていると、貸しができたりするんですよ。逆に、自分が嫌な仕事をほかの人がやってくれるようになったりします。そして、こんなチームができるとお互いに収支計算のプラス評価にもつながってきます。

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5.ボスに嫌われてはいけない、子分になってもいけない

営業部のサポート業務でそれなりの評価を受けていても、本当にやってみたいのはあくまで番組制作の仕事だったんです。今いる部署から出て本当に行きたい部署に引っ張ってもらうためにはどうすれば?と考えていました。

そこで上司に「あいつはそういうやつだから」と思ってもらえるようにしたんです。具体的には「デスクの仕事はできるヤツだけど、この部署が本籍になるタイプの人間じゃないんだよな」と上司に思ってもらいたかった。

例えば僕は、営業部で唯一ゴルフをしない人間でした。休日もお得意先や広告会社の方とゴルフに行った方が、コミュケーションが図れて有利なのは間違いないんですけどね。それと、結婚式に上司を招かなかったんです。本来なら乾杯のあいさつでもお願いしたほうが可愛がってもらえると思いますが、「この共同体なかでで長くやっていこうと思っているわけじゃないんです」というメッセージのつもりでした。もちろん、連絡や報告はきちんとして最低限の仁義は守る必要があります。でも、他の場所に行きたいのなら、今いる場所の居心地を良くしすぎない覚悟も必要かもしれません。

当時のぼくのスタンスは「嫌われはしないけど子分にもならない」ことでした。嫌われすぎても気に入られすぎても希望の部署は遠ざかる、そう思って上司とバランスのいい関係性を築くことを心がけていました。

6.自分を評価してくれる人と出会い、深いコミュニケーションを図る

ぼくがいまこうして制作の人間として働けているのは、営業から引っぱってくれた当時の制作部長のおかげです。テレビからラジオに異動してきてすぐの時に、飲みに誘ってくださったんです。「長谷川君はラジオで何をやっていきたいの?」と聞かれ、「番組制作の仕事をしたいんです」と自分の思いを本気で話しました。

僕がやりたいと思っていた番組を作ったのがその部長だったこともあって、それ以降、部署は違ってもときどきメールなどでコミュニケーションを取り続けていたんです。自分を推してくれる人を見つけ、その関係性を大切にしてください

7.「あいつはそういうやつだから」枠を受け入れてチームを作る

これまでは僕自身が「あいつはそういつやつだから枠」だったという話です。最後はチームの話をしますね。
会社に入る=チームに属することです。そのチームのメンバーと仕事をしていくことになります。100点満点の人だけが集まるチームなんて存在しません。「もっといい人」はどこかにいるかもしれませんが、理想を追い求めても前に進みません。まずは今のチームでやるしかない。

ぼくの番組のチームメンバーは個性派ぞろいで、実はほかの番組でNGを出された人も少なくありません(笑)。でもそれって必ずしも不利じゃないんですよ。ある種目がマイナス評価だっただけで、みんな必ずプラス評価の面を持っていますから。僕自身が「そういうやつ」ですからね、評価の軸も他の人とはちょっと違うのかもしれない。ニッチでもいいから、何か得意なことがあるはずだと思っています。

ほかでうまく行かなかった人がここでうまく行きだすと、めちゃくちゃがんばってくれます。「きみは"そういうやつ"だけど、だからとてもいいよね!」ってほめる。良い部分を最大限に引き出したいんですよね。

誰かの欠落した部分はほかの誰かが埋めればいいんです。僕自身も他の人にすごく助けてもらっていますしね。その分、自分ができることで誰かを補えばいい。お互いに補い合って、1人ではできないことをやる。そうでなければチームを組む意味なんてありませんから。

(執筆:池田園子/撮影:橋本直己/編集:藤村能光)

著者プロフィール

ベストチーム・オブ・ザ・イヤー

ベストチーム・オブ・ザ・イヤーは、2008~2016年の間、最もチームワークを発揮し、顕著な実績を残したチームを、毎年「いいチーム(11/26)の日」に表彰したアワードです。