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プレーだけがスポーツの魅力? 広まるスポーツを通した社会との活動──第2期「次世代リーダー フューチャーセッション」番外編

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※ベストチーム・オブ・ザ・イヤーのサイトから移設しました

第1期の取り組みから、移住フェスが生まれ、地方創生の追い風も相まって、地方の可能性を世に示した「社会を変えるチームを創造するフューチャーセッション」。第2期からは、スポーツの可能性を世に示す動きが出てきそうです。

「何かしたい」という気持ちはみんな持っている

「サッカーというスポーツそのものがとてもメジャーで、発信力も強い。そういったところから、選手は"社会に対して何かできることがあればしたい"という意識はもっていると思う。」

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発信力の強さを自覚して、様々な社会的活動に積極的に取り組むようになったというのは、サッカー元日本代表選手の秋田豊さん。

「野球をやめ、何か自分から動きたいなと思ったときにこの取り組みを知りました。自分でも何かできることがあるのならばと思い、協力しています。本当に小さな力ではありますが、何かできること、役に立てることがあるのであれば、どんどんしたいと思っています。」

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昨年立ち上がった「野球で、人を救おう。」というNPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーションの活動に賛同しているプロ野球OBの1人、元千葉ロッテマリーンズ投手の薮田安彦さん。

それぞれ第一線にいた選手が、社会との接点を何かしら持つことに対してとても積極的だということは、この第2期の活動を通して初めて見えてきたことでした。

今回のレポートでは、普通のビジネスパーソンから、"スポーツと日常の橋渡しをすること"を仕事に変えた2人の参加者に焦点を当て、以下で詳しくみてみます。

「見るもの」「するもの」だったスポーツ

ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会が主催した「チーム」を生み出す活動である、社会を変えるチームを創造するフューチャーセッション(第2期)では、スポーツをテーマにしたチームが3チーム生まれました。 そのうちの1つ、サッカーという親しみやすい活動を通しながら、防災意識を高めていきたいという「サッカー×防災」チームを立ち上げた荒昌史さん。

「共感してくれる仲間を求めてセッションに参加した」という荒さんに、なぜサッカーと防災とを結び付けたのか聞いてみました。

自分の会社を創業して間もないうちに震災が起き、事業としても復興支援に取り組んでいましたが、やはり被害の大きさに対して圧倒的な無力さを感じていました。

その時に、Jリーグの、日本代表対Jリーグ選抜のチャリティマッチをみて、これが試合としてもとても面白かった。当時はまだ余震も続いていて、日本全体が不安に包まれていたとき。そこへカズさん(三浦知良選手)がゴールを決めて、渾身のカズダンス。もう本当に感動して、涙が流れました。何より、サッカーを通じてたくさんの笑顔が生まれ、たくさんのお金も被災地に届けられた。その様子をみて心から感動したんですね。

僕自身、サッカーは幼稚園からずっとしていたけど、あくまで「見る」「する」ものだった。でもこの経験を通して、「社会課題を解決するビジネスとしてのサッカー」に興味がわき、そこからこのサッカー、フットサルを通じて社会貢献を行う事業を立ち上げました。


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「サッカー×防災」チーム プロジェクトリーダーの荒さん

すでに自分が行っている事業の可能性を探るべく参加した荒さん。セッションでは共感する仲間も集まり、「サッカー×防災チーム」は、各チームが自分たちの活動を実践してみるトライアル期間に、COLO CUP を開催しました。

"これからの防災減災と震災復興" を大会のコンセプトとし、身体を動かしながら非常時のトイレについて学んだり、参加者一人ひとりが自分の身を守るための「マイ・ディフェンス」を持つようなワークをするなど。そういったメニューも仲間と議論して生まれたものだそう。

前回はブラインドサッカー、今回は防災に絡めてサッカーをしたけれど、どれも楽しみながら参加できました。また、ゲストとしてでも参加することによって防災減災を思い出すきっかけになる。日常生活をしているとついつい忘れがちになるから、また来年「自分は大丈夫かな」と確かめに来たいですね。


当日にゲストコーチとして参加した秋田豊さんは、今回の参加で2回目とのこと。ご自身の思う「防災」や「スポーツの持つ力」について少し聞いてみました。

選手の「実績」はプレーだけじゃない

現役アスリートのとき、防災などについて関心はありましたか?

僕が鹿島アントラーズでプレイしていたとき、鹿島という土地が位置も地盤もしっかりしている環境のよい場所だったおかげで、台風など天災の影響をほとんど受けなかったんです。なので、防災について考える必要性をあまり感じていませんでした。ただ、一部地盤がゆるかった地域もあり、震災が起きたときには、その地盤がゆるい地域としっかりしてる地域とで、天と地ほどの差が出ました。そこで、改めて場所をちゃんと選ばないといけないと思わされました。場所によってこうも違うのだと。


身近なところで体験し、より危機感が高まったということですね。

そうですね。震災時、自分自身ではないけれど僕の子供が海の近くにいたため、いてもたってもいられなくなり迎えに行くという経験をして。それ以来、災害にあった時にどうするかについて家族で話し合ったり、災害があっても、一週間は生活できるように水や食料、靴などを用意したりしています。防災減災については、それまで家族全員まったく意識していませんでしたが、いまでは活動にも身が入りますね。


COLO CUPは、震災のチャリティマッチをきっかけにサッカーの可能性を感じて生まれたイベントですが、「見る」「する」以外にスポーツが持つ可能性には何があると思いますか?

サッカーというスポーツそのものがとてもメジャーだし、発信力も強いので、選手はボランティアをするなど社会貢献の意識を少なからず持っているとは思います。なので、社会をよくする動きを生み出す力が、サッカーにはあるのではないかなと。僕たちがプレーできるのは、応援してくれているサポーターや周りの方たちなど、様々な人にプレーできる環境をつくってもらっているということ、そういった"人の支え"に対する感謝の気持ちを常に忘れないで持っておかないといけないと思っています。選手の実績は、プレーだけじゃない。先に言ったような周りへの感謝を行動で示したり、様々な努力があってのものだと思います。自分自身や競技の持つ影響力を考えて行動できるかどうかが、その人や、大きく言えばその競技の可能性を拡げる。そういう自覚が選手や引退した選手にも必要だと思っています。


ボストン・レッドソックスが成し得たことを日本でも

サッカーだけでなく野球の分野でも、その発信力の大きさを活かして新たな活動が始まっています。

アメリカの野球チームの市民への影響力の大きさを体感して、昨年夏にNPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーション(以下「BLF」)という野球を通した社会活動の団体を立ち上げた岡田真理さん。 今回この第2期のセッションにも、サポーターとして参加していただきました。

ボストンマラソンのテロがあった際に、ボストン・レッドソックスが様々なチャリティ活動を行い、1か月で約2億2000万円の金額を集め、テロの犠牲者の遺族や負傷者に寄付をしました。テロが起きた日から5日間の間に、「B STRONG(強くあれ)」というロゴ入りTシャツとキャップを制作して販売、試合再開日に追悼セレモニーを実施、試合で使用したグッズをチャリティーオークションに出すなど、5日間というとても短い期間に様々なことを実施したチームの迅速な行動、選手の協力、グッズ等を「手に入れる」ことで支援に加わるファン、その一体感に『なんだこれは』と感動して。スポーツ界に関わってきた自分としては、これを日本でもやりたいと思うのは自然の流れでした。


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NPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーション代表の岡田真理さん

BLFでは、海外で進んでいるスポーツマネジメントやコーチング、トレーニングを学び、将来日本のスポーツ界の役に立ちたいと考える学生の留学費用の一部を負担する奨学金プログラムを最初に立ち上げ、早速奨学生も出ているとのこと。

コンセプトは、『参加して楽しいチャリティ』です。BLFに寄付をするとプロ野球選手・OBのサインボールやサイン色紙がもらえるようにしたのですが、このボールも、今後は使えなくなった硬球を大学などから回収し、障害者の皆さんに修繕していただいたものを使用する予定。障害者の就労支援にもつながるようになっています。


BLFの活動に賛同しているプロ野球OBの1人、元千葉ロッテマリーンズ投手の薮田氏もこういいます。

野球をやめて、何か自分から動きたいなと思ったときにこの取り組みを知って、自分でも何かできることがあるのならばと思い、協力しています。
野球以外のことについては、チームが決めたことに対して動く、という受け身の部分も過去にありましたが、『チームとして、このことにはどう対応しようか』と話し合う立場にだんだんと変わっていきましたね。単に歳を重ねただけかもしれませんが(笑)。ただ、現役のときと現在とで、野球以外のことでも何かしらで自分が役に立つのであれば動きたいという気持ちは変わっていないですね。チームに所属していれば、チーム(球団)に働きかけることもできるかもしれませんが、引退したあとは、何かのきっかけや情報をいただくことで、本当に小さな力ですが、役に立てることがあるならどんどんしたいと思っています。

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スポーツが文化として継承され、発展し残っていくためには、見る人やする人以外とも接点があることが重要と岡田さんは言います。

たとえば、『プロ野球チームの支援によって大学に行けることになった』、『選手が支援をしてくれて適切な医療を受けることができた』という人が増えていけば、その野球の価値はもっと高まると思います。野球によって救われる人が増えれば増えるほど、野球は日本人にとって "なくてはならない存在" になるのだと思います。そうなれば、単なる『スポーツ競技』や『娯楽』の域を越えた存在になる。そういうパワーと魅力が野球やサッカーなどのメジャースポーツにはあると思います。


ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会では、若手ビジネスパーソンの「これを解決したい」「この"好き"を広めたい」という想いを、行動に起こしていくプロセス(チームづくり)の支援を続けています。

(撮影/尾木司・加藤遼也)

著者プロフィール

ベストチーム・オブ・ザ・イヤー

ベストチーム・オブ・ザ・イヤーは、2008~2016年の間、最もチームワークを発揮し、顕著な実績を残したチームを、毎年「いいチーム(11/26)の日」に表彰したアワードです。