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「問題解決メソッド」とは?――会社の問題を解決する議論のフレームワーク

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会社では、さまざまな「問題」が起こります。問題を解決するために、あなたの会社ではどのように解決していますか?一般的には、原因や責任の追及をし、問題を解決しようとするのではないでしょうか。

原因や責任の追及も大切かもしれません。けれども、「なぜ?」「どうして?」と追求しすぎると職場の雰囲気が悪くなったり、担当者に責任を負わせたものの、問題は遅々として解決しなかったりすることも多いもの。

関係者で前向きに議論し、チームで解決できるといいですね。

問題解決の議論をするために、サイボウズで用いているのが「問題解決メソッド」です。問題解決メソッドは、共通の言語を使って話し合いを円滑に進め、前向きな討議を生むための「議論のフレームワーク」です。

この記事では、問題解決メソッドについて解説します。

そもそも「問題」とは何か―ネガティブな前提を変える

ところで、何かしらのトラブルが起こったとき、私たちは「これは問題だ!」と言いますが、そもそも「問題」とは何でしょうか。一般的には「よくないもの」という認識ではないでしょうか。

問題解決メソッドでは、問題を「ネガティブなもの」と位置づけていません。「本当はこうだったらいいな」という「理想」と、「しかし、実際はこうだ」という「現実」とのギャップを「問題」と呼んでいます。ギャップそのものに「よい/悪い」はありません。

言い方を変えると「理想があるから、問題が起きる」とも言えます

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問題を、「悪いものではないんだ。理想があるからこそギャップを感じるんだ」のように捉え直すと、問題解決を前向きに取り組めます。

問題を「問題ではなくする」のは意外と簡単だけど......

「問題とは、理想と現実とのギャップである」という考え方に基づくと、問題を「問題ではなくする」のは、実は、それほど難しい話ではありません。そうです、「理想をなくしてしまえばいい」のです。

例えば、会社で起こっている「ある問題」に対して、「まぁ、いいか」と理想を下げれば(あるいは、理想をあきらめれば)、問題に対する認識は小さくなりますよね。このように、理想がなければ、問題は起きません。

ただ、これでは「問題が解決した」とは言い難いでしょう。

そこで、問題解決メソッドでは、改めて「そもそも理想は何か」を再定義し、それに対して「現状はどうか」を洗い出し、ギャップを明確にすることからはじめます。

問題解決メソッド5つのステップ

問題解決メソッドは、次の5つのステップで取り組みます。

  1. 問題を一言で言い表す
  2. 問題を「理想」「現実」「事実」「解釈」のマトリックスで表す
  3. 問題の「原因」を見つける
  4. 問題の「課題」を列挙する
  5. 課題に優先度をつける

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

1、問題を一言で言い表す

まず、「これはおかしいな」と思っている問題を一言で言い表し、タイトルをつけます

例えば、「うちの部署はチームは、最近雰囲気が悪いな」と思っていたら、「チームの雰囲気が悪い問題」のように。

2、問題を「理想」「現実」「事実」「解釈」のマトリックスで表す

次に、理想と現実のギャップを明確にするために、問題を「理想」と「現実」、「事実」と「解釈」に分けて考えます

ここで、言葉を定義しておきましょう。

  • 問題 = 理想と現実のギャップ
  • 理想 = 望む状態
  • 現実 = 現在の状態
  • 事実 = 誰が見たり、聞いたりしても五感で確認でき、共通の認識が持てる「確かなこと」。自分の外側で「起こった」こと
  • 解釈 = ある事実を見たり、聞いたりしたときに「頭の中で作り出したこと」。自分の内側で「思った」こと

「事実」は、誰が見たり、聞いたりしても同じですが、同じ物事を見聞きしても感じ方は人それぞれのように、「解釈」は人によって異なる場合があります。これが、議論が食い違う理由です。

例えば、「チームの雰囲気が悪い問題」の「雰囲気が悪い」は解釈です。同じ環境にいても「雰囲気が悪い」と思っていない人もいるかもしれません。解釈には思い込みや認識のズレもあるでしょう。このような状況で「雰囲気が悪い」「いや、悪くない」と議論をぶつけ合っても、前向きな議論にはなりません。議論の食い違いは、解釈の食い違いである場合がほとんどです。

また、「理想が違っていた」や「実は、理想がなかった」といった場合も議論は噛み合いません。

そこで、問題を「理想」と「現実」、「事実」と「解釈」に分けます。次のような4事象のマトリックスを使うと便利です。

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例えば、「チームの雰囲気が悪い問題」の「事実」なら、「会議で発言する人が10人中2人」「ストレスチェックにひっかかった人が2名いる」といった具合です。

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「そもそも、何のために」という理想を改めて共有し、問題を「事実」と「解釈」に分け、事実ベースで会話をするだけでも、共通の認識を図りやすくなり、議論がスムーズになることがすぐに実感できるでしょう。

3. 問題の「原因」を洗い出す

「理想」と「現実」、「事実」と「解釈」を洗い出したら、次に、現実を作り出した「原因」について議論します

ある現実が目の前で起こっているとき、それを作り出した「原因」があるはずです。「原因」とは、現実を引き起こした「人の行動」のことです。

  • 原因 = 現実を引き起こした「人の行動」

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例えば、「チームの雰囲気が悪い問題」の「ストレスチェックにひっかかった人が2名いる」の原因を考えてみます。

この問題の原因を考える場合、ややもすると「Aさんはネガティブだ」「Aさんは一人で抱え込みがちだ」のように、個人の問題にしてしまいがちです。また、個人の人格を責め立て、傷つけてしまうことも少なくありません。

大切なのは、問題の原因を個人に押し付けることではなく、チームで解決することです。そこで、原因を議論する際は「チームで起こっている」「人の行動」にフォーカスします。「私はAさんに声を掛けていない」のように。「私は○○していない」「私たちは○○していない」のような表現を意識すると、他責ではなく自責の原因を見つけやすくなります。

また、「真の原因」を見つけるためには、「原因Aを引き起こした原因Bがあって」「原因Bを引き起こした原因Cがあって」......のように原因を深掘りすると、真の原因にたどり着きやすくなります。

「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざをご存知でしょうか。ある事柄の発生により、一見すると全く関係がないと思われる場所・物事に影響が及ぶことのたとえです。

「風が吹けば桶屋が儲かる」は、実は、次のような話の構成になっていることが知られています。

  1. 大風が吹いて、土ぼこりが立つ
  2. 土ぼこりが目に入って、盲人が増える
  3. 盲人は三味線を買う(当時の盲人が就ける職に由来)
  4. 三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
  5. ネコが減り、ネズミが増える
  6. ネズミは桶をかじる
  7. 桶の需要が増えて桶屋が儲かる

このように「風が吹けば桶屋が儲かる」は、「風が吹くこと」が直接の原因で「桶屋が儲かる」わけではなく、原因と結果の連鎖によって起こることを言い表したことわざなのです。

同様に、先程の「ストレスチェックにひっかかった人が2名いる」にも、何らかの原因と結果の連鎖があるはずです。例えば......

「私はAさんに声を掛けていない」→なぜ?→
「私は声を掛け、話を聞く時間を調整していない」→なぜ?→
「私は多くのタスクを一人で抱え、他のメンバーに割り振っていない」→なぜ?→
「私は業務量が多いことを共有していない」

といった具合です。このように、「人の行動」にフォーカスし、「原因Aがあって、それを引き起こした原因Bがあって......」のように、原因と結果の連鎖を論理的にたどることで、真の原因にたどり着くことができます。

4. 問題の「課題」を洗い出す

次に、問題を解決するための「課題」を洗い出します

「現実」を「理想」に近づけるためには、何らかの活動が必要です。この「具体的な活動」のことを、問題解決メソッドでは「課題」と呼んでいます。「ToDo」または、「Next Action」という言い方もできます。

  • 課題 = 現実を理想に近づけるための「具体的な行動」

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課題を実行することで、理想と現実とのギャップが小さくなり、問題が解決できます。また、このプロセスは「成長」と言うこともできます。

「原因」で洗い出した、「私は○○していない」という表現を、「する」に変えることで、課題にできます。例えば、先程の「ストレスチェックにひっかかった人が2名いる」ならば......

「Aさんに声を掛ける」
「声を掛け、話を聞く時間を調整する」
「多くのタスクを一人で抱え、他のメンバーに割り振る」
「業務量が多いことを共有する」

といった具合です。洗い出した課題を実行しやすくする施策があれば、さらに洗い出し、行動を具体的にするとよいでしょう。

「課題」を設定する際のポイントは、「誰がやるのか」を明確にすることです。「誰が」「何を」するのかをはっきりさせることで行動に繋げやすくなり、問題を解決することができます。できるだけ「自分」の課題で、自分が「できること」を設定しましょう。

5. 課題に優先度をつける

「課題」を行動に移すために、「実行可能性」を想定します。「実現可能性」とは、影響範囲、コスト、リスクなどです。次のようなマトリックスを使うと便利です。

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「課題」を実行したら、理想の実現に近づいたか振り返ります。

問題解決メソッドのまとめ

ここまで、問題解決メソッドについてお話してきました。

問題解決メソッドは、全ステップを一つずつ行うのが理想ですが、それが難しければ、「改めて理想を確認する」「事実と解釈を分ける」など、部分的に活用していただくこともできます。

大切なのは、「メソッドを正しく使う」ことよりも、「問題を解決する」ことです。理想を改めて確認し、現状を事実ベースで洗い出しながら、共通の言語を使って認識を合わせて議論すること......。

そのためにも、ここで紹介した「シンプルな問題解決の考え方」を、まずは、あなたの社内で共有してみてください。そして、できるところからはじめてみてください。あなたの会社の問題解決に、ご活用いただければうれしいです。

著者プロフィール

竹内義晴

チームワーク総研とサイボウズ式編集部の兼務。新潟でNPO法人しごとのみらいを経営しながらサイボウズで複業しています。コミュニケーションの専門家。