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ツールだけで会社が良くなるなんて、甘い話はなかった―チームワーク経営塾にかける想いをサイボウズ青野に聞いてみた(1)

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サイボウズの経営陣が「サイボウズ流チームワーク経営」を直接お伝えするサイボウズ チームワーク経営塾がはじまります。こちらのインタビュー動画では、チームワーク経営塾に対する想いを、サイボウズ代表取締役社長 青野慶久に聞きました。ご覧頂きましたか?

この記事では、インタビュー動画には収録できなかった内容も含めて、2回に分けて公開します。経営塾に対する青野の想いをご覧ください。

なぜ、チームワーク経営塾を始めるのか

Q:なぜ、チームワーク経営塾を始めようと思ったんですか?

本当にそうですよね。サイボウズはグループウェアを提供している会社ですが、もともと、ソフトウェア企業としてジャンルを徹底的に絞って、「グループウェアの事業しかやらない」と言っていたんですよ。

Q:それなのに、なぜ、チームワーク経営塾を?

グループウェアの事業をやっているうちに1つ気づきがあって。それは、同じツールなのに、「うまく使える会社と、使えない会社がある」ということ。

いい会社は、グループウェアを入れるともっといい会社になっていく。情報共有がされて、どんどん風通しが良くなっていくんです。けど、もうひとつ組織がイケていない会社にいれちゃうと、結局うまく使えなくて、せっかく入れたグループウェアが台無しになってしまう。これでは、僕らとしても「お役に立てなかった」ということになってしまいます。

Q:「ツールだけじゃ足りない」と。

ツールだけで会社が良くなるなんて、甘い話はないなと思ったんです。そこで、会社や組織変えるようなメソッドを、どこかで提供しないといけないんだろうなと思って。そのタイミングがそろそろ来たのかなというのが実感ですね。

Q:「タイミングが来た」という感じなのですね。

今もよく言われるのは、「サイボウズみたいな会社にしたいんだけど、どうしたらいい?」ってこと。そんなの、あまり考えたことはなかったし、人に教えるほどのものでもないと思っていたんです。

でも、「講演して下さい」とか、「ワークショップしてください」とか、そういう機会が増えてきたので、「そろそろ機も熟してきたのかな」と思って、始めることにしました。

Q:今までも講演やセミナーを行ってきた中で、今回、経営者に特化して経営塾を始めるというのは、どういう思いがあったんですか?

組織を大きく変えようと思ったときに、現場から変えるのは、価値観を入れ替えるようなことなのでなかなか難しい。一番権限をもったトップが、「こういう組織にしたいんだ」と。「今まではこうだったけど、これからはこういう組織にしたいんだ」と。しっかりそこで、リーダーシップを発揮して貰わないと、組織はなかなか変わらない。

そういう意味で、僕らも、経営者に来てもらって、学んでもらって、経営者から変えていくような場を創らないといけないと思って、経営塾を始めることにしました。

変わる会社の共通点

Q:いつ、思いついたんですか?

これ、いつ思いついたんやろね。色々考えていたんですよ。これまで、色んな会社にいって講演もしているんですけど、講演をしても、「変わる会社」と「変わらない会社」とあって。

「変わる会社」の共通点は何かなと思ったら、やっぱりそこに、「経営者のコミット」が入っていること。経営者が、「青野さんの話を聞いて、学んで、俺が変えていくんだ!」という経営者がいるところは、やっぱり変わっていくんですよ。経営者が引っ張って行かないとだめだなって。これが、今までの講演会での気づきでしょうかね。

Q:「働きやすい環境づくりをしたい」って、みんなが思っているし、結局、現場がいくら変わろうと思っても、変われないというのは、すごい残念ですよね。やっぱりトップが変わる必要があるのでしょうか

トップが変わる必要はありますよね。

ただ、今回この経営塾でやりたいのは、トップが「やろう」と思っても、トップだけで変わるっていう話でもないんですよね。現場がそれを理解しなければ、ついていくことも出来ない。

また、トップが明後日の方向を向いていて、現場のみなさんが「なんか言っとるわ」では、組織は変われないので、ぜひ、トップだけではなく、現場の人と一緒に参加してもらうような、両方が同時に動くようにしたいなと。

組織を変えるって一大作業なんです。本当は、みんなで寄ってたかって変えていかないといけないんですよね。そんな「学びの場」にしたいなって思っています。

Q:壮大ですね。

「組織を変える」って、覚悟が必要ですよね。今までは、「残業もやってガツガツ行くぞ!」ってしていたところから、「これからは多様化だ」と、「一人ひとりの働きやすさを重んじて行くんだ」と、180度、舵を切るわけです。

ですから、今、働いている人も「社長は何を言い出したんだろう」ですし、「本当に切り替えちゃって大丈夫なのか?」とか。ここは一大作業なんです。この壁をのぼらないと、結局、変われないんですよね。

「何を言ってるんだ、青野さんは」からサイボウズが変わったノウハウを還元したい

Q:トップが「変わるぞー!」って言っても、社員がついてきてくれないっていうのが経営者の悩みだと思います。経営塾は他のコンサルとは得られるものが違うんですか?

今回は、講師陣が私だけではなくて、業務部門のリーダーが出てきてくれます。ですから、もっと多面的に働き方を変えるってどういうことなんだって学んでもらえます。

私自身が、2005年から2007年ぐらいのときに、「働き方を変えたいな」って言っても、「何を言ってるんだあいつは」という人が多かったですね。

Q:サイボウズも最初はそうだったんですね。

経営者のみなさんも、たぶん同じ経験するんですよ。トップが「変える」って言っても、現場のみなさんとめっちゃ乖離がありますよ。「青野さんは何を言っているんだろう?」って。

本当に現場のみなさん、一人ひとりと対話しながら、経営者も覚悟をもっていかないとついてきてくれないんです。

Q:「何を言ってるんだ、青野さんは」って言われているとき、青野さん自身はどんな気持ちでした?

それはもう、つらいですよー。なんでしょう?自分が信頼されていないというがっかり感もありますし、「なんで、自分のいう事を聞いてくれないんだ」っていう、怒りの気持ちもわいてきますし。その、怒りの気持ちを爆発させたら、もう終わりなので、なんとか抑え込まないといけないですし。

一人ひとりと話しながら、理解者を増やして、少しずつ理解者が増えて、変化を感じるまで3年くらいはかかりましたね。これは大変でした。

Q:これから会社を変えようと思っている経営者の方の気持ちがわかるんですね?

ほかの企業さんよりも、一足先に組織を変える経験をさせてもらったので、ノウハウを還元できます。まさにトップの覚悟も必要だし、現場の理解も必要だし。両輪をどう回すのか。ツールをそこにどう適用していったらいいのか、ノウハウは沢山ありますから、それを提供していきたいと思っています。

"チームで参加してもらう"のが一番のミソ

Q:経営塾の内容について、もう少し詳しく教えていただけますか?

今回の経営塾は6回構成になっています。第1回は私の講座で「いかに経営者が覚悟を決めないといけないのか」「何に覚悟を決めないといけないのか」を理解していただきます。

そこから徐々に、「制度をどう作っていったらいいのか」とか、実際に「マネジメントをどう運営していったらいい」とか、より具体的なところに落としていくと。この、6回構成の中で、トップだけでなくて、それぞれ関与する人......例えば、人事部長に出てきてもらうとか、営業部長に出てきてもらうとか。

Q:経営者だけではなく、実際に関わっているみなさんと一緒に参加できるのですね。

経営塾が終わったときには、「トップの覚悟度」も高まっているし、「現場の理解度」も高まっていて、すぐ進められる。この状態までもっていきたいと思っています。これが経営塾ですね。

今回、"チームで参加してもらう"っていうのが、ある意味、一番のミソかも知れませんね。組織を変えるのはトップのコミット......これも、とても重要なんだけれども、それを、現場の人が理解して一緒に回してくれる。これが変化を加速させるんですよね。

たいてい、こういう「学びの場」っていうのは、経営者だけのものだったりとか、現場だけのものだったりするんですけれども、組織を動かすには両方必要なんだと。その両方に学んでもらう機会を今回作ると。これが、経営塾のいいところだと思います。

インタビュー:三木佳世子

著者プロフィール

竹内義晴

チームワーク総研とサイボウズ式編集部の兼務。新潟でNPO法人しごとのみらいを経営しながらサイボウズで複業しています。「2拠点ワーク」「週2日社員」「フルリモート」というこれからの働き方を実践しています。