「チームワーク経営塾」とは、どんな内容なのか?―いただいたご質問にお答えします
このたび、サイボウズでは、企業の中で生じる様々な課題に対し、経営者のみではなく経営を担う方々とご参加いただく、チームワーク経営塾を開催します。
募集を開始してから、メディア等でもご紹介いただきました。
- サイボウズ流のメソッドを青野社長が伝授--「チームワーク経営塾」を始める狙い(CNET Japan)
- 批判覚悟「6日間200万円」経営塾の狙い サイボウズが始める新事業の本気度(プレジデントオンライン)
また、各方面からご意見やご質問をいただきました。
そこで、Q&A形式で、ご質問にお答えします。
チームワーク経営塾とは、一言で言うと何か?
今、少子高齢化社会により、各企業では、労働力不足が深刻な問題になっています。それに伴い、人材採用や生産性などにも影響が出始めています。
これらの問題に対して、どんな経営をしていけば、課題を解決できるのか......。
チームワーク経営塾では、「定着」「採用」「生産性向上」という3つの経営課題と、「売上向上」の両輪を回すために、必要な理論と、具体的なメソッドをお知らせします。
なぜ、IT企業がチームワーク経営塾を始めるのか?
サイボウズではこれまで、日本の多くの企業にグループウエアを導入し、広めることができました。
一方で、サイボウズの理念「チームワークあふれる社会を創る」に鑑みたとき、限界も感じはじめていました。
限界とは、「いい グループウエアを導入しても、いいチームが出来るとは限らない」ことです。その現実を目の当たりにしてきました。
良い組織にグループウエアを入れると、意思決定が速くなり 効率が上がるため、もっと良い組織になります。
「情報共有なんてしなくていい」「とりあえず社長の言うことを聞いておけばいい」という組織にグループウエアを入れても、チームワークは良くなりません。
おかげさまで、サイボウズはチーム作りや働き方改革でご評価をいただくようになってきました。
そこで、サイボウズがこれまで実践し、改善してきた独自の理論やメソッドを、チームワーク経営塾を通じてお伝えすることで、理念である、「チームワークあふれる社会/会社を創る」を実現したいと考えています。
どのような経営方法か?
「多様な個性を尊重する」という経営方法です。
「多様な個性を尊重する」と、子育てや介護など、時間や場所に制限がある方々を受け入れることができ、採用力が上がります。
また、多様な個性を受け入れると「自分は受け入れられている」と思う人が増えます。その結果、定着率が上がります。サイボウズでは、離職率が28%から4%に下がりました。
多様な個性を尊重すると、社員がバラバラになり、生産性が下がるのではないか?
多様な個性を尊重する経営をすると、生産性が上がります。
なぜなら、制限がある人同士が協力しあって働くため、情報共有が進み、仕事の最適化が図られていくからです。
また、「多様な個性を尊重する」と、自由な意見交換が始まります。多様な個性を掛け合わせるとさまざまなアイデアが生まれ、イノベーションを起こすことができます。
その結果、今までの「生き残るためのビジネスモデル」から脱却し、「クリエイティブなビジネスモデル」を作ることができるのです。
サイボウズには、「多様なニーズをどうやって把握していくか」「多様な個性とどう向き合ってマネジメントしていくか」「いろんな人とどう対応していくか」など、データベースの作り方や会議の運営など、多様な個性を生かすための独自のメソッドがあります。
「独自のメソッド」は、具体的には何か?
経営塾では、参加者それぞれの会社の中で起こっている「具体的な問題」を扱います。
それぞれの問題に対して、経営者の想いをトップダウンで振りかざすのではなく、議論によって「問題」や「共通の理想」を捉え、「課題を設定」し、解決していく方法をお伝えします。
議論する方法は、「問題解決メソッド」というサイボウズの社内で繰り返し実践している方法を用います。
問題解決の使い方を、社内の「共通言語」として使えるようになることによって、社内で起こるさまざまな問題に対し、何が起こっても、多様な意見を持った人を集めて、議論して解決することができるようになります。
経営塾に参加しても、会社の問題がそう簡単に解決するとは思えないが......?
「問題」がある背景には、必ず「理想」があります。問題から共通の理想を設定し、課題を見つける。そして、行動する......このサイクルを回し続けると、変化が起きます。
多様な個性が集まっているチームでは、このサイクルを回し続けることが特に大切です。
また、多様な個性が集まっていると、それぞれが思っている理想には差があるはずです。
「Aにするか、または、Bにするか」という対立の議論ではなく、「お互いの理想で共通化できることはないか」「さらに上位の理想はないか」といった「共通の理想」を探し、それを実現するために何をすべきかを議論すれば、問題は解決します。
会社の風土はそう簡単に変えられないのではないか?
会社の風土を変えるために、最も大切なことは、経営者自身が、会社を変えることにコミットすることです。
しかし、経営者一人で変えるのは大変です。
そこで、チームワーク経営塾では、経営者に加えて、社員の方が2名、一緒に受講できる「チーム型経営塾」です。
6回の講座に対し、毎回3名受講できますので、経営者のほかに、最大12名受講できます。
こうすることで、社内に、「同じ考え方や共通言語を使える人が複数に人いる」体制が整います。
1人よりも、社内に仲間がいた方が、チャレンジする土壌ができます。うまくいく会社なら、1~2回メソッドを活用することで、要領が分かってくるはずです。
要領が分かると、「何とかできたね」という成功体験が社内に生まれます。すると、改革が徐々に楽しくなり、幸福度が上がっていきます。
さらに、離職率など、結果が目に見え始めると、「これでいいんだ」と自信がつきます。その最初の1、2回転を一緒にまわしたいなと思っています。
研修費200万円は高いのではないか?
前出の通り、今回の経営塾は「チームで受けていただく」ことができます。実質「200万円÷受講者数」になります。
また、今後、日本社会は人口減少により、人材採用がますます難しくなります。
「働きやすい会社」に変革することで、求職者が増える他、離職率が低下することで、新たな人材を採用するコストが削減できます。
「採用コスト」や「離職率の低下」を含めてお考え下さい。
「チームワークあふれる会社」になるとどうなるのか?
チームワークが良くなると、「生産性」と「幸福度」がダブルで上がります。
多様な個性が生かされ、チームワークがうまく機能すると、「生産性」が上がります。
一人ひとりの個性や強みを出し合い、属人化させないようなチームができると、その成果は、1+1=2ではなく、もっと大きな数字になります。
また、チームワークがよい組織では、お互いの強みを行かすことができ、自分らしくいることができます。それは、社内外の「誰か」に貢献することでもあります。
他者への貢献は、感謝を生みます。感謝と貢献をシェアすることで、社員の幸福度が上がります。
それはまるで、スポーツの団体種目で、チームで協力し、勝利したときに、みんなで涙するようなイメージです。
「生産性」と「幸福度」が両方上がる......それが、チームワークあふれる会社です。
政府の「働き方改革」とは、何が違うのか?
働き方改革は、元々、現場で働く人たちが、過大な残業時間や、悪い労働環境など、人権問題が入り口でした。
しかし、現在の働き方改革は、「短時間で生産性を上げろ」「残業代も払わなくてラッキー」のような、「生産性を上げる」だけが働き方改革になっています。
働く側からすると、ちょっとツライ改革です。
働き方改革の理想は、「生産性の向上」と、社員の「幸福度の向上」の両方を実現することです。
企業として、生産性が高く出したい成果も出せる。しかも、社員が働きたい環境で働くことができて、幸福度やモチベーションも高い。
「生産性」と「幸福度」の両方を満たすために、何ができるのか、サイボウズが考える働き方改革です。
文・編集:竹内義晴
著者プロフィール
竹内義晴
チームワーク総研とサイボウズ式編集部の兼務。新潟でNPO法人しごとのみらいを経営しながらサイボウズで複業しています。「2拠点ワーク」「週2日社員」「フルリモート」というこれからの働き方を実践しています。