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メンバーのマイナス面が気になってしまうのはなぜ? ──プラス面に目を向け活かすチームワーク創造メソッドとは

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リーダーとして仕事をしていると、メンバーのマイナス面に目が行くことはありませんか?そこで、マイナス面をなんとか改善させようと、注意をしたり、指導したりすることもあるかもしれません。

けれども、なかなか改善しない......。こんな課題感をお持ちではないでしょうか?

そこで、この記事では、メンバーのマイナス面が気になってしまう理由と、プラス面に目を向け活かす方法についてご紹介します。

マイナス面が気になる2つの要因

「メンバーの強みを活かすことが大事」--―そうわかっているはずなのに、どうしてマイナス面ばかり気になってしまうのでしょうか?それには大きく2つの要因が考えられます。

1.脳はネガティブな情報に影響されやすい

1つ目の要因は、「脳はネガティブな情報に影響されやすい」ことです。

人は「ネガティブな情報に、より強い影響を受ける」――ポジティブに考え、人の強みを伸ばすことの有効性を説明している『ストレングス・スイッチ』(光文社)によれば、人の脳は、プラス面とマイナス面、両方のフィードバックを受けた場合「マイナス面」の方が、より強く「印象に残る」と言います。

また、人の脳には「選択的注意」という機能があります。これは、その人にとって「重要だ」と認識された情報のみを選択し、注意を向ける認知機能のひとつです。

このような脳の特徴が、メンバーに対してはたらくとどうなるでしょうか。メンバーのいいところよりも、「できない」というネガティブ情報ばかりが印象に残ります。さらに「選択的注意」がはたらくと、できない点が目につくようになります。

2.リーダー自身の強みが無意識に出すぎている

2つ目の要因は、「リーダー自身の強みが無意識に出すぎている」ことです。

私たちは、自分自身の得意や強みに無自覚です。たとえば、「スピード感をもって動くこと」が呼吸をするくらい当たり前にできるリーダーが、自身の強みをわかっていなかったらどうなるでしょう。

メンバーも当然できると思うでしょうし、じっくり考えてから取り組むメンバーを見ると「行動が遅い人」に感じるはずです。

しかし、メンバーにとって、その「スピード感」は当たり前ではありません。

本来なら、メンバーには「じっくり慎重に考えて、リスクを見つけ出すことが得意」というリーダーにはない素晴らしい強みがあるかもしれないのに、リーダーのスピード感を求められたら、とてつもなく難易度の高いことを求められているように感じます。自信を失い、やる気を失ってしまうこともあるでしょう。

強みを活かすことで得られるパフォーマンスの向上

ネブラスカ州の教育機関が1950年に行った調査があります(※1)。この調査では、平均的な読書スピードの集団と、速く読むことが得意な集団に対し、それぞれ速読トレーニングを行い、どの程度、読める文字の量が上がったのか、その変化を調べました。

その結果、平均的な読書スピードの集団は、読める文字の量がおよそ2倍になったのに対し、速く読むことが得意な集団は、読める文字の量がおよそ8倍になったそうです。

この調査結果は、人は弱みを克服するために頑張るよりも、強みにフォーカスし、強みを伸ばすような働きかけをしたほうが、圧倒的なパフォーマンスを出せるということを意味しています。

先ほどの、リーダー自信の強みが無意識に出すぎている例でいうと、リーダーの強みと同じ「スピード感」を、メンバーに求めて改善や指導をするよりも、メンバーの強みである「じっくり慎重に考えて、リスクを見つけ出すことが得意」な点を育てたほうが、パフォーマンスを出せるということです。

この視点をもつと、チームにとっては、「リスクについて考えるときには、Aさんに聞けば安心」というチームのリスク対策が強化されます。メンバー本人にとっても、チームに貢献できる場が見つかり、モチベーションの向上につながります。

※1:https://news.gallup.com/businessjournal/202526/hard_work_turning_talents_strengths.aspx

メンバーのプラス面に目を向ける「チームワーク創造メソッド」

とはいえ、人はどうしても自分の評価軸で判断してしまいがちですし、メンバー一人ひとりの得意・不得意を、リーダーが一人で見つけ出すのは難しいものです。

どうすればいいのでしょうか?

サイボウズには「チームワーク創造メソッド」という、チームのパフォーマンスを高めるメソッドがあります。

このメソッドでは、まず、チームのメンバー同士で強みと弱みを言い合い、自己開示します。次に、自身の弱みを補ってくれるメンバーを見つけ、頼り、頼られる関係性を作ります。

たとえば、資料作りは得意だけどアイデア出しが苦手な人が、新しいアイデアを出せるよう努力するのは大変です。一方、それほど努力することなく、斬新なアイデアをいくつも出せる人もいます。この場合、アイデア出しの部分は得意なメンバーに頼り、出てきたアイデアを資料にまとめる作業を担うことで、互いの強みを活かすことができます。協力し合えていることはモチベーションの向上にもつながり、チーム全体のパフォーマンスも上がるでしょう。

チームワーク創造メソッドのポイントは、「リーダーがメンバーの強みを見つける」のではありません。「メンバー同士で弱みと強みを伝え合う」ことです。

他者から良いフィードバックがあると、自分では気付いていなかった強みに気付くきっかけになります。また、自分のどの強みがチームに貢献できているかを知ることができると、感情面での満足感も高まり、モチベーションも向上します。

さらに、このメソッドを使うと、自然と「補い合う」視点が生まれます。チームの信頼関係、心理的安全性の向上にもつながります。

「強みを活かす」視点がチームを前向きに変える

メンバーのマイナス面が気になってしまう理由と、プラス面に目を向け活かす方法についてご紹介しました。

今まで、マイナス面に目がいっていたところを、急にプラス面に変えるのは難しいかもしれません。それならば、チームワーク創造メソッドを使って、メンバー同士で弱みや強みを言い合うような場を作ってみてはいかがでしょうか?

リーダーをはじめとして、メンバーそれぞれが「強みを活かす」視点をもつことで、チームの雰囲気やメンバーとのコミュニケーションを、より前向きに変化させることができるはずです。

チームワーク総研では、リーダーの方々がメンバーの強みを活かしながら、リーダーの負担が軽減でき、楽しく仕事ができるようにするためのプログラムをご用意しています。お問い合わせはこちらよりお寄せください。

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著者プロフィール

小山素子

チームワーク総研 アドバイザー兼コンシェルジュ。組織やチームに悩む方々の話を聞き、一緒に解決策を探ります。プライベートでは三兄弟の母。Gallupストレングスコーチ。