現状は有給消化率30%以下が5割を占める―有給の取得義務化については8割が「歓迎」有給消化の仕方には理想と現実にギャップ
企業や組織へチームワークや働き方改革のメソッドを提供するサイボウズ チームワーク総研は、今年4月から施行された有給休暇取得義務化を機に「有給休暇」に関する意識調査を行いました。
[調査概要]
- 調査対象:25-50歳のビジネスパーソン男女 計400名
割付:一般層 200名 / マネージャー層 200名 - 調査期間:2019年4月13日(土)~14日(日)
- 調査方法:インターネット調査
昨年度の有給消化率は、半数が「3割以下」と回答
マネージャー層では、約6割が消化率30%以下
労働時間削減については、大企業が中小企業に先行
昨年度の有給消化率を聞く質問では、約3割の方が「ほぼ取っていない」と答え、最も多い回答となりました【図1】。一般層とマネージャー層を比べると、マネージャー層の有給消化の状況は厳しく、約6割の方が「有給消化率2~3割以下」と答えています。
これを会社の従業員数別に見たところ、1001人以上規模の会社では「有給消化率2~3割以下」と答えた方は約4割、従業員100人以下では「ほぼ取っていない」と答えた方が4割近くに達しました。従業員数が少ないほど有給消化率が低いことが分かります。【図2】
また「ここ1年の労働時間の変化の有無」という設問で、従業員数1001人以上の会社では「以前に比べ労働時間が減った」という回答が3割以上となりました。約半数が「変わらない」と答えた従業員数100人以下の会社に比べると、総労働時間に変化があることが伺えます【図3】
有給休暇取得義務化、8割は歓迎
理由の1位は「気まずさの軽減」
8割を超える方が、有給休暇取得義務化を「歓迎する」と回答しました。
「歓迎する」理由は、「有給申請の際の遠慮や気まずさが軽減」「休みが増える」が上位となりました【図5】。
一方「歓迎しない」理由では「業務調整が大変」「サービス残業化しそう」が上位になりました【図6】。参考値ではありますが、マネージャー層では「サービス残業化しそう」、一般層では「残業代など収入が減りそう」が高くなっています【図7※母数が少ないため参考値】。
有給消化の仕方には、理想と現実にギャップあり
「まとめて取得」し「泊り旅行へ行きたい」けれど
現実には「単発休暇を複数回」で「自宅でゴロゴロ」「たまった家事」
有給休暇をどのように取りたいかについて「希望」と「現実」を聞いたところ、「まとめて取りたい」ところだけれど「一日や半日単位」が現実的、といった意識が見えてきました。【図8】
今年度の有給休暇の過ごし方について「過ごしたい希望」と「現実的にはこうなりそう」というそれぞれの質問をしたところ、希望は「泊りがけ旅行」「日帰りレジャー」が上位となった一方、現実について「自宅でゴロゴロ」「たまった家事・家の用事」という回答が上位となりました。少数ではありますが「仕事(持ち帰り残業)」という回答は、現実が希望を上回っています。【図9】
この「現実」を層別で見ると、昨年度の有給消化率別では「有給をほぼ取っていない人」の「自宅でゴロゴロ」率が高く、また、有給取得義務化を「歓迎しない人」の過ごし方は「仕事(持ち帰り残業)」が高い傾向です。
「同居の末子が小学生以下」の方は、他層に比べ「たまった家事・家の用事」が高く、「自宅でゴロゴロ」が低めでした。有休を取得してもお子様の対応に追われるなど、自宅でゆっくりしにくい様子が伺えます。
また、有給休暇は誰と過ごしたいかを単一回答で聞いたところ、「自分だけで」がトップとなりました。【図10】。
まとめ
今回の調査では、4月からの「有給休暇取得義務化」導入を機に、ビジネスパーソンの有給休暇に関する意識を調べました。
多くの方が、これまでの有給消化率が芳しくなかった中、取得義務化を歓迎していました。一方で、まとめて有給を取りたいと思う反面、実際には単発での取得になりそうであること、また、泊り旅行に行きたいけれど、まずは自宅でゆっくり過ごしたり、家事をすることが現実的といった意識が垣間見えました。
今回の義務化に伴い、休みやすい職場の雰囲気が醸成され、理想の休み方の実現に向かうことを期待し、今後も継続的に同調査を続けていく予定です。
サイボウズ チームワーク総研では、個人の幸福度とチームの生産性の両方を高めるための多数の研修プログラムを用意しています。今後もチームやチームワークを考える調査の一環として、様々な調査を行い発信してまいります。
※引用について:
本調査を引用いただく際は出所の明示をお願いいたします。
例)サイボウズチームワーク総研「有給休暇に関する意識調査」
著者プロフィール
三宅 雪子
チームワーク総研研究員・編集員。組織におけるチームワークを探求。働く人の強み・魅力を引き出し、人と人との関わりをチームの生産性へつなぐ道すじを探る。