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NOをYESにする「魔法の言葉」とはーーチームコミュニケーションにおける「伝え方が9割」術

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※ベストチーム・オブ・ザ・イヤーのサイトから移設しました

前回に引き続き、円滑なチーム運営、チームコミュニケーションをするための具体的なコミュニケーションのコツとは何か。58万部のベストセラービジネス書『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんと探る。

「一緒に」という言葉だけでチームコミュニケーションが変わる

仕事を円滑に進めるうえで、チームコミュニケーションは非常に大事なことですが、悩みも尽きません。少しでもお互いが良い関係になるにはどうすればいいのでしょうか。

一番のポイントは「一緒に」という言葉です。例えば、上司に「明日までにこの資料をつくっておいて」と言われるより、「一緒につくってくれない?」に言われたほうが、よほど部下はやる気になると思うんです。

それは、どういうことなのでしょうか。

こんなことってありませんか? 女性同士で「一緒にトイレに行かない?」と言われたら、自分がトイレに行きたくなくてもとりあえず行ってしまう。男性同士でも「一緒にコンビニ行かない?」と言われたら、とくに用事はないけれど「じゃあ、行こうかな」という気持ちになる。

なぜそういったことが起こるのか。それは人が一人で何かをやるのではなく、一緒にやること自体が本能的に好きだからなのです。何かを誰かと一緒にやる。それこそ、チームワークの原点ですよね。

「一緒に」という言葉は、どんなビジネスシーンにも使えそうですね。

同世代にお願いする場合はとくにそうでしょうね。同世代は上下関係がないため、逆にお願いしにくい場面があるのではないでしょうか。例えば、会議に遅れがちな同期に対して、「時間通りに来いよ」というのではなく、「一緒に会議がスタートできるように、一緒に会議室に行こう」と言うと命令ではなくなりますね。 「一緒に」という言葉は、あえて上下関係をつくらないようにする方法なのです。

DJポリスも使った「NOをYESに変える技術」

「一緒に」という言葉で上下関係のモードが変わる?

かつて話題になったDJポリスもまったく同じ技術を使っています。 普通のお巡りさんなら、群衆に対して「車道に出るのはやめなさい」と上から目線で言うところを、DJポリスは「目の前にいる怖いお巡りさんも、皆さんと一緒で日本のワールドカップ出場を喜んでいるんです。同じチームメイトです。チームメイトの言っていることを聞いてください」と諭しました。それを聞いた群衆の間では、拍手が巻き起こったといいます。いわば、「一緒のチームメイトである」とDJポリスが言ったことで、モードチェンジが起こったのです。

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「一緒に」という言葉は、お願いの仕方の一つの切り口でもあるのですね。

人は毎日いろんなお願いをしています。私が数えたところ、働いている人なら、朝起きてから寝るまで、1日に22回もお願いをしているのです。 それだけお願いして、YESのときもあれば、NOというときもある。でも、「一緒に」という言葉で、そのうちのいくつかをNOからYESに変えることができるのです。 この技術は、今までNOだったものを100%イエスに変える技術ではありません。でも、その可能性を引き上げることができるのです。

誰でも持っている「認められたい」という欲

ほかにビジネスで使えるキーワードはありますか?

人には必ず「認められたい」という欲があります。 例えば、自発的に仕事をしようとしない部下に対して「しっかりやれ」と叱咤するのではなく、「君には期待しているんだ」という言葉を使ってみる。「君が考えるように、どんどん進めて。サポートするから」と部下が自分で考えるように促すことで、自発的に動くようになるのです。そのほうが部下もやる気になるでしょう。

相手を認めているという姿勢を示すことが必要なのですね。

まったく同じ内容を言うのであっても、伝え方によって結果が変わるということです。トークが上手な人でなくても、伝え方には料理のようにレシピがあって、レシピに沿って伝えることによって、誰でも今まで以上にNOをYESに変え、自分も相手もハッピーになることができるのです。

チームワークも言葉の伝え方で変わってくるのでしょうか?

チームワークの考え方は、イソップ童話の「北風と太陽」と同じことなのです。この童話は、北風と太陽が力比べをして、どちらが旅人の上着を脱がすことができるのかという話です。北風は思いっきり風を吹かせて、上着を吹き飛ばそうとしますが、強く吹けば吹くほど旅人は上着を握りしめてしまう。一方、太陽はぽかぽか陽気にして、旅人が自分から上着を脱ぐようにしました。

コミュニケーションもこの童話と同じで、相手がそうしたくなるように言ってあげればいいのです。仕事はほとんどがチームワークで動くものです。自分ひとりでできることは限られています。むしろ誰かに何かをお願いしてやってもらうほうが、ビジネスシーンでは多いはずです。そのとき、相手が面倒くさい、やらされていると思いながらやるか、相手がハッピーになってポジティブになるかは、伝え方次第であり、それによって仕事のパフォーマンスも人間関係も変わってくるのです。

 

(取材・執筆:國貞文隆/撮影:橋本直己/企画編集:椋田亜砂美)

著者プロフィール

ベストチーム・オブ・ザ・イヤー

ベストチーム・オブ・ザ・イヤーは、2008~2016年の間、最もチームワークを発揮し、顕著な実績を残したチームを、毎年「いいチーム(11/26)の日」に表彰したアワードです。