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「体育会系」の新入社員研修がZ世代には合わない本当の理由

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もし、あなたが40代以上なら、「厳しい新入社員研修」を受けた世代かもしれません。

たとえば、「挨拶」や「お辞儀」「体操」「行進」などを延々と続けさせられたり、「滝行」「サバイバル」「登山」「マラソン」などをさせられたりするハードな内容です。

ちょっとでも気が緩んでいるところが見えたら「気合が足りない!」と教育担当者から怒鳴りつけられ、厳しい課題を延々と繰り返させられるような内容に、当時は「なんでこんなことをする必要があるんだろう?」と思いませんでしたか? 

でも、さまざまな経験を積み、ふと振り返れば人生も中盤に。「あれも、いい思い出だったなぁ」と思うと同時に、実務経験を重ねると「やっぱり、厳しさも必要だな」という思いを抱かれているかもしれません。もし、あなたが新入社員研修を企画されている方なら、「よし! 新入社員研修は厳しい系で行こう!」と思っていませんか?

さすがに、イマドキは単なる「厳しい」感じにしないまでも、睡眠や食事時間を削らないとできないような企画をつくり、プレゼンさせるといった研修なら、いまも取り組んでいる企業があるでしょう。というより、そういった研修を好んで研修会社にオーダーする企業もあると聞きます。

そのような厳しい研修は、「集団行動を身体で覚えさせる」「社会人の厳しさを教える」といった目的があるように思いますが、いまどきのZ世代には有効なのでしょうか?

Z世代の特徴

厳しい研修が有効か否かを見ていくまえに、まず「Z世代の特徴」について見てみましょう。

Z世代とは、1990年代後半から2000年生まれの世代を指します。幼少期からタブレットやスマートフォンに触れ、動画やSNSに慣れ親しんだデジタルネイティブです。デジタルは生活の一部であり、新しい機能やデバイスにもすぐに順応していきます。

SNSに慣れ親しんでいるため、「いいね!」や「シェア」といった文化に代表されるように、横のつながりをつくることが得意で、面白いと思ったことや感動を共有することを大切にしています。

また、幼少期からインターネットに慣れ親しんでいることから、ネット上の膨大な情報から自分に必要な情報をつかむことに長けています。また、自ら発信しようと思えば、世界に発信するツールも使い慣れています。

さらに、学校ではSDGs、多様性といった学習を受けており、社会問題や環境問題にも敏感です。

横のつながりをつくるのが得意である一方で、縦社会はあまり馴染みません。「そもそも、何のために」といった本質的に物事を判断しようとするリアリストなのが、Z世代の特徴です。

Z世代と「厳しい研修」の期待とリスク

このような特徴をもつZ世代に対し、「だからこそ、厳しさを教えなければいけないんだ!」「単独行動ではなく、集団行動を身に付けさせなければならないんだ!」という考えをお持ちかもしれません。

しかし、Z世代が育ってきた「共感」「人とのつながり」「多様性」といった時代背景を考えると、「厳しさ」や「集団行動」は、逆の路線のような印象です。

もちろん、組織の中では厳しさや集団行動が必要な場合もあるでしょう。けれども、「こういった厳しさが大切なんだ」といった一辺倒なやり方では、Z世代の共感が得られないほか、多様性とも反してしまいます。

また、パワハラやモラハラが問題視されるいまの時代に、単に「厳しいだけ」「理不尽なだけ」の内容や、人格を否定するような言動はもってのほか。SNSなど世界に発信するツールを自在に使いこなせることを考えると、場合によっては「SNSに投稿されて炎上」といったリスクも十分考えられます。

相手の特徴に合わせて、理解できるようにコンテンツを組み立てるのが、研修企画者の腕の見せ所です。

Z世代にふさわしい新入社員研修とは?

Z世代が育ってきた「共感」「人とのつながり」「多様性」という特徴を考えたとき、Z世代の特徴を活かした研修を設計するとよさそうです。

ここで、サイボウズの新入社員研修の一部をご紹介します。

サイボウズの理念は「チームワークあふれる社会を創る」です。この理念にはすべての社員が共感しています。新入社員研修では、この理念に至った過去の背景や想い、これを実現するための4つの文化である「理想への共感」「多様な個性を重視」「公明正大」「自立と議論」について、新入社員研修で伝えています。

また、チームワーク創造メソッドという独自に開発した教育メソッドがあり、新入社員研修で共有しています。

「チームワークとは、チームのメンバーが、目標(理想)を達成するために役割を分担し協働すること」といった、チームで仕事をするための原理原則を伝えるほか、新入社員一人ひとりの多様な個性を発揮できるよう、「弱みと強みを知る」「メンバーの弱みを自分の強みでカバーする」といった、チームで仕事をする仕組みについて伝えています。

新入社員の「個性」や「強み」が発揮できる研修を

「厳しい研修が必要だ」という背景には、きっと、新入社員に対する「社会人として、元気に仕事ができるように」「最後までやり遂げる人になるように」など、熱い思いがあるのでしょうね。あるいは、組織の一員として働くための忍耐力を身に付けさせたいという願いがあるのかもしれません。

一方で、そういった厳しめの教育は、多様性の観点でみると、「枠にはめた」「画一的な社員」を育てることになってしまうかもしれませんし、新入社員の個性を摘んでしまう恐れもあります。

人口減少社会のいま、新入社員は大切な人材ですし、御社と巡り合ったのもなにかのご縁です。また、厳しさや理不尽に耐える力も大切ですが、それは、実務の中で十分に学び、実践することができます。

新入社員一人ひとりの強みや才能を発揮し、多様な個性が活かせるような新入社員研修にしたいものですね。

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著者プロフィール

竹内義晴

チームワーク総研とサイボウズ式編集部の兼務。新潟でNPO法人しごとのみらいを経営しながらサイボウズで複業しています。「2拠点ワーク」「週2日社員」「フルリモート」というこれからの働き方を実践しています。