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84世代のマイプロジェクト実践者が振り返る「チーム作りの成功・失敗体験談まとめ」

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※ベストチーム・オブ・ザ・イヤーのサイトから移設しました

初めまして、江口晋太朗です。普段は、編集者やコンテンツディレクター、ジャーナリストとして、政治行政などの社会問題からスタートアップやテクノロジー、サイエンス、デザインなどのさまざまな領域を横断して活動しています。


マイプロジェクトとしてウェブマガジンの立ち上げからイベント企画、最近ではネット選挙解禁に向けて活動した「One Voice Campaign」という公職選挙法改正のキャンペーン活動を進めたり、オープンガバメントを推進する「Code for Japan」や「Open Knowledge Foundation Japan」という団体で活動したりしています。


「やりたい」と思ったことを愚直に「行動」に変えてきた中で得たチーム作りの考え方やプロジェクトの進め方をまとめてみます


1.何も考えずに飛び込んでみることの大切さ

2.普段から思っていること、課題に感じていることを人に話してみる

3.レベルゼロを大切に

4.求めるべきは、目指すべき方向性に向かって動き出せる体制を作ること

5.プロジェクト活動だからこそ、細やかなコミュニケーションが必要

6.面白がってやることが一番

7.「早く行きたければ一人で行け、遠くに行きたければみんなで行け」

何も考えずに飛び込んでみることの大切さ

まずはやってみること、時には何も考えずに飛び込んでみることで得られる経験は大いにあるのではないでしょうか。

いまでこそ、CNET JapanやTHE BRIDGEなどのウェブ媒体、WIREDやBRUTUS、メトロミニッツなどの紙媒体のメディアやイベント企画などに携わっていますが、学生時代はITやデジタル、デザインにまったく興味がない、アナログな人間でした。それこそ、2008年頃までYahoo!のポータルサイトがインターネットだと思っていたほどでした。

2009年は1つのターニングポイントでした。アメリカでオバマ大統領が初当選し、TwitterやFacebookを通じて一個人が社会に対して声をあげ行動するようになりました。この体験から、テクノロジーやデザインのあり方が変化し、私たちの身の回りや社会が大きくシフトする時代になると予感しました。

自分なりに動き出したのはそのタイミングです。自分なりにインターネットの歴史を勉強し、広告やマーケティングに関する書籍を読み、ソーシャルメディアを活用した事例を調べ、企画を実践しようと考えました。

2009年、TwitterやUstreamを使ったイベント実況中継を手がけたことがきっかけで、ヒマナイヌという会社で企画プロモーションの仕事を手伝い始めました。本格的にメディアについて学びたいと考え、友人と「84ism」というウェブマガジンを立ち上げました。企画や編集は独学で学び、実践してきました。それが今の仕事に至るきっかけでもありました。

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一般的な仕事で勉強と実践を両立させるのは難しいかもしれません。逆に、個人の活動だからこそ実験や試行錯誤ができると考えました。もちろん、やることすべてが初めてで、最初は間違いやミスの連続です。

例えば、編集やライターが押さえておくべき「取材のいろは」を知らず、文章構成や原稿の書き方は散々なものでした。今思い返すと恥ずかしいことだらけだったと思い返します。けれども、積極的に失敗を繰り返してたことでいろんな経験が得られ、失敗を糧に次への教訓にすることができました。自分がなぜ失敗したか、何がダメだったのかを身をもって知ることで、具体的な対策や気をつけるべきことが見えてきました。自分自身が一歩づつ成長していくことを実感できたんですよね。

「自分のプロジェクト(マイプロジェクト)」が、違った形で仕事に活きたり自分の本業になったりすることは大いにありえます。マイプロジェクトだからこそ、失敗を積極的に受け止め、普段できない経験をすることを大切にしていました。

普段から思っていること、課題に感じていることを人に話してみる

自分が思っていることを表現すること。これがマイプロジェクトを始める第一歩です。

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いきなり何かを始め、行動に移せる人は多くはありません。しかし、自分が普段思っている疑問や課題、こんなことをしたいと思う気持ちがもしあれば、それを人に話したり、SNS上で発信してみることをオススメします。そこから何かしらのヒントやアドバイスを見出せるからです。

「この分野に興味がある。調べてみたい!」「今、自分はこれに困っているんだよね」。宣言するだけなら誰でもできますし、お金も必要ありません。

私のまわりで事業やプロジェクトで成功している人は、ちょっとしたことでも口にだす人が多いように思います。言葉することで頭が整理され、ヒントとなるアイデアが見えることもあります。友人の紹介で協力者とつながるなど、人と出会うきっかけにもなります。

特に、Twitter上では自分と興味関心の近い人を見つけやすく、積極的に声をかけたり実際にお会いする機会をつくれます。これがきっかけで友人になったり仕事につながったりもします。言い続けると同時に、人との出会いやコミュニケーションを臆せず行動することで、何かのヒントや出会いにつなることは多くあるのです。

とにかく言い続けることです。「もっとこうしたらいいかも」「これってこうやったら良くなるかも」といった代案や意見を。意識が次第に向き、考えが洗練されます。どこかのタイミングで、本気でアクションに移そうと考えられるようになります。

レベルゼロを大切に

少しでも行動したいと思った人は、自分でプロジェクトを立ち上げるよりも前に、まずはどこかのチームや団体に参加してみると良いです。そこから、学べるものはたくさんあります。特に、自分にとって身近ではない分野や業界に足を踏み入れたいと思う時はなおさら、コミュニティの中を足で稼ぎながら、できる範囲で何かをギブする意識を持つと良いです。

まずは今の自分ができる小さなことからスタートし、コミュニティで居場所を作ることが大事です。それらの活動を通じて、コミュニティの独特の文化を理解できるようになります。私はスタートアップやテック業界にもかかわっていますが、まずはできる範囲のお手伝いをしていました。それこそ最初は、イベントに積極的に顔を出してあいさつをし、イベントの準備や片付けの協力をしていたんです。

ほんの小さなことを続けると、そのコミュニティの動きを少しずつ理解できるようになります。次第に手伝える範囲も広がり、自由な活動につながってきます。

プロジェクトを立てる前段階で、信頼される関係性を作ること。これを「レベルゼロ」と呼びます。レベルゼロは誰でもできるアクションですし、そのコミュニティや業界を理解するきっかけにもなるのです。

求めるべきは、目指すべき方向性に向かって動き出せる体制を作ること

レベルゼロで行動をし始めると、実は周囲には同じ考えや思いを持っている人がたくさんいると気づきます。もし最終的な目標が同じなら、ぜひ手をとって協力してみてください。必ずしも、自分がプロジェクトのリーダーとしてすべて作ろうとしなくてもかまいません。

私自身、複数のプロジェクトの立ち上げにかかわりました。その多くはパートナーや仲間と役割を分担していたんです。そこでは、必ずしも自分がリーダーではないことも多くありました。求めるべきは、目指すべき方向性に向けて動き出せる体制を作ることです。

学生の時に社会起業家を集めたカンファレンスを企画した時には、リーダーとして全体統括として活動したり、NPOのお手伝いをした時には一スタッフとして、Ustreamなどの映像まわりでの企画の時にはAD的にロープ回しやカメラマンを担当し、One Voice Campaignではコンセプト作りや広報、PR、マネジメント、発起人としての対外的な活動、現在活動しているCode for JapanやOpen Knowledge Foundation Japanではコンセプトづくりとコピーライティングや広報、PRまわりなど、職種や立場に関係なく、自分がその場で必要とされている仕事をこなしてきました。

自分が前に出るところ、後ろに下がるところといった、それぞれの立場や役割をわきまえた上で、その場で足りてない部分と、自分自身が力を発揮できるところを見出すことで、関わった仕事やプロジェクトの多くが、より良い形で進んでいきました。

私が根底に持っている思いは、自分がどんな役割を果たせば最も効率的にプロジェクトが進むか、といったことなのです。

自分は何もできない、と思わないでください。どんなプロジェクトにも、自分しかできないことが必ずあるんです。そしてメンバーの役割のどの1つが欠けてもプロジェクトは成功しない。そう考えると、1つひとつの役割の意味が生まれてきます。自分の課題意識を元に、「なぜその役割が必要か」「なぜ自分がその役割を担うのか」を考えると、おのずとやるべきことが見えてきます。

プロジェクト活動だからこそ、細やかなコミュニケーションが必要

メンバーが納得してプロジェクトの目標を達成するためには、最適解と納得解の違いをなくすかに懸かっています。

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プロジェクト遂行には、その時々の最適なアクションが求められます。その最適解といえる行動がすぐにできるよう、メンバーが納得して取り組める納得解を導き出し、納得解こそを最も効果的なアクションとすることが大切です。

メンバーのクセや活動のリズムを理解し、その人が得意なことに自発的に取り組めるよう、タスク配分やコミュニケーションに気を配る。チーム作りの重要な考え方です。

ちょっと昔を振り返ります。高校卒業後、私は3年間陸上自衛隊に在籍していました。3年目には部下をもち教育係として指導もしました。その際に気をつけたことは、いかに部下と向き合うかということでした。自分が新人の時、一方的に叱りつける上司がいました。「この人に従っていこう」と素直に思えない自分がいたんです。

自分が上司になった時には、闇雲に指導したり叱ったりすることだけはしませんでした。「率先垂範」を心がけ、上司と部下は強制的な上下関係ではなく、互いの役割のもとに同じ仕事をともにする仲間として行動しようと考えました。そのためには、自分から手を動かし、汗を流すことが一番大切なのです。

率先垂範で自分が形を示すことは、プロジェクト内の信頼関係を築くことと同義です。これは仕事でも、仕事以外でも役に立つんです。もしあなたのプロジェクトが会社の活動ではなく、社会的な活動だったら、仕事以上にメンバーとのコミュニケーションやモチベーションをどう維持するかを考えなければいけません。

逆に、最もやってはいけないこともあります。タスク作業として一方的に仕事を振ることです。プロジェクトメンバーごとにモチベーションや目的意識が違うことを前提にした上で、こまめなやりとりを行い、一方的なコミュニケーションにならないようにすべきです。

面白がってやることが一番

プロジェクトで達成したい目標が明確にできれば、何をやるかは二の次だったりします。ゴールに向かうアイデアをみんなで持ち寄って実現することは、メンバーの高いモチベーション維持につながり、目標を到達しやすくなります。

大事なのは、どんなアイデアも面白いと感じること。まずは肯定し、評価した上でアイデアが効果的になるようにブラッシュアップしていくことです。時に、自分が想像もしていなかったアイデアも生まれたりします。

ネット選挙解禁を目指して活動していたOne Voice Campaignは、そんな創発の場でした。広告代理店出身の友人やコピーライター、デザイナーのメンバーが自発的にアイデアを持ち寄り、いくつもの企画が生まれました。政治と聞くと、真面目でお固い分野だと思いませんか? それを変えるアイデアを形にしていったのです。

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キャンペーンの名前やウェブサイトのあり方も、立ち上げた時からビジュアルとコピーを活かして伝わりやすい形で、なおかつ若い人たちが声をあげている様子がわかるようにしたり、常にサイトをアップデートしていき活動の経過やコンテンツを増やしてデザインを変えたりといったブラッシュアップ型のサイトにしていくことも、アイデアの1つでした。

Twitterでフォローを呼びかけてフォロワーさんの名前が入ったプロモーション映像を3日で作りSNS上で参加を呼びかけるなどして盛り上げを作ったり、会議などの活動の様子のほとんどをUstreamで生中継したり、大学生が政治について率直な思いをリレーブログ方式で書いていく「100人ブログ」企画、代々木公園にいる若い人たちに声をかけて、一言コメントと写真を撮影するといったアイデアなども出てきました。

もちろん、国会議員さんへの電話やアンケートをまとめたり、著名人への賛同ビデオの撮影、メディアリレーションシップ、署名活動も行ったりしていましたが、あくまで「キャンペーン」として、各人が各人のやれる方法を使って情報発信や取り組みを形にしていきました。

ネット選挙の認知や若い人たちが声をあげて社会に対して動き出すこと――。これがネット選挙の解禁と同時にキャンペーンが持っていた大きな目的です。「やってはいけないこと以外は、基本的にある程度自由にやっていい」――。こんなマインドで臨みました。どうなったか? メンバーが自分の言葉でネット選挙の解禁の意味を語れるようになったのです。政治という小難しい話題を、分かりやすく伝えようとしたことが、少しはメッセージとして伝わったのではないかと考えています。

自分発のアイデアを実行できる環境って、とても大事です。メンバーが当事者意識を持って行動できるからです。みんなでアイデアを肯定し、楽しみながらブラッシュアップしていくチームこそが、モチベーションと当事者意識を作り上げられると確信しています。

「早く行きたければ一人で行け、遠くに行きたければみんなで行け」

「早く行きたければ一人で行け、遠くに行きたければみんなで行け」

アフリカに伝わることわざで、何かあるたびに思い返す言葉です。私自身、自分一人で何かができるとは未だに思っていません。それよりも周りにいる人と向き合い、時に楽しく、時に一所懸命アイデアをだし、同じ目線をもってともに考えともに行動する。一人では絶対に不可能なことを達成できると考えています。

日々、誰かと協力して物事を進めていく中で、周りの人に感謝の気持ちを返そうと思いながら行動をすることを心掛けています。これは仕事でも、プロジェクトでも良い循環を作る一つの柱となります。社会のため、人のために行動することは自分自身の成長につながる。そんな思いを持ちながら毎日を過ごすことが、最も大切な考えなのです。

執筆:江口晋太朗、編集:藤村能光

著者プロフィール

ベストチーム・オブ・ザ・イヤー

ベストチーム・オブ・ザ・イヤーは、2008~2016年の間、最もチームワークを発揮し、顕著な実績を残したチームを、毎年「いいチーム(11/26)の日」に表彰したアワードです。