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「はじめに」全文公開──『わたしからはじまる心理的安全性 リーダーでもメンバーでもできる「働きやすさ」をつくる方法70』を出版

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このたび、翔泳社から『わたしからはじまる心理的安全性──リーダーでもメンバーでもできる「働きやすさ」をつくる方法70』を出版しました。

本書は、心理的安全性を作るための方法を集めたTips集です。

「職場の心理的安全性」は、マネージャーやメンバーといった立場を問わず、チームに関わる方であればどなたでも寄与できます。立場を問わず、ご自分から一歩を踏み出したい方に向けて、無理なく継続できる「小さな」アクションの数々をご紹介します。

著者は、サイボウズチームワーク総研なかむらアサミと、スコラ・コンサルト塩見康史氏。チームワークに関するノウハウを伝えるサイボウズと、日本発の風土改革コンサルティングのパイオニアであるスコラ・コンサルトの知見を合わせ、両社が自社や各支援組織で実践している「心理的安全性の高いチームを作るためのノウハウ」を集めました。

ここに、「はじめに」全文を公開します。

心理的安全性をつくるのは上司だけの仕事?

「心理的安全性のあるチームをつくるために、部下のわたしができることはあるでしょうか?」 セミナーで受講者の方からこの質問を受けたとき、ハッとしました。

確かに上司だけでなく、チームの一員として部下にもできることややるべきことがある、心理的安全性のあるチームになるにはお互いの行動が必要だ、と気づかされたのです。

そこから、日々の行動を分解し、1つひとつのTips にしていく作業をはじめました。

心理的安全性に関連する書籍は数多く出版されていますが、上司や管理職に向けられたものがメインです。その中でこの本は、上司だけでなく部下の立場でもできることを書いています。先ほども述べたとおり、心理的安全性は、上司と部下の双方向でつくっていくものだからです。

多様性のある時代だからこそ「あんぜんチーム」が必要

この本では、心理的安全性が高い職場・チームのことを「あんぜんチーム」と呼ぶことにします。

「職場」とは、いろんな世代が集まる組織でもあります。主に20 代~60 代のケースが多いと思いますが、もっと幅広いこともあるでしょう。

外部環境の変化が激しく、世代を超えて同じ経験や価値観を共有することは相当難しくなってきています。そうした中で「チーム」となり成果を出すこと、自分たちの目指すものを実現するために一番必要なことが、言いにくいことを言い合える心理的安全性のある関係性、あんぜんチームをつくることです。

コロナ禍を経て、わたしたちの働く環境は大きく変化しました。世代がバラバラなチームで、どのようにあんぜんチームをつくるのか。1人ひとり働く環境や価値観が異なる中で、多様性を重視しながらどのようにあんぜんチームをつくるのか。難易度が高いことはわかっていながらも、その必要性を感じる人が多いからこそ、心理的安全性という言葉が浸透してきたのでしょう。

2社の知見をギュッと凝縮したTips集

著者のわたしたちは、自社またはそれぞれの支援組織において「あんぜんチーム」づくりの実践をし、かつそれに関する悩みを数多く聞いてきました。それらの悩みのヒントを示すために、2019年から心理的安全性に関するセミナーも行ってきました。冒頭で述べた「部下のわたしでもできることは?」という質問は、そのセミナーで出た質問の1つでした。

スコラ・コンサルトは1986年の事業開始以来、風土改革コンサルティングの支援実績が延べ2,000 余社にのぼる、日本発の風土改革コンサルティングのパイオニアです。サイボウズは、チームを支援するソフトウェアの開発・販売を主たる業務としつつ、チームワークに関するノウハウを、研修やコンサルティングを通して伝える事業も行っています。このノウハウは、離職率が高かったベンチャー期からの抜本的な風土改革を経て「働きやすい会社」と言われるようになるまでに変化した自分たちの経験から形成されています。

両社が自社や各支援組織で実践している「心理的安全性の高いチームを作るためのノウハウ」を集めたのがこの本です。「あんぜんチーム」をつくり、維持していくための小さなアクションのTips を70 個抽出しました。組織のメンバーそれぞれが、こうしたアクションを実践することで、徐々に組織全体の心理的安全性が高まっていきます。また、「小さな」アクションなので無理なく継続ができる、というわけです。

アクションをコツコツと積み重ねることで、あんぜんチームが生まれる

セミナーでは、「『これさえやればOK!』といったものはありますか?」という質問もよくいただきます。あんぜんチームをつくることは、所属しているチームの各メンバーと良好な関係を築き上げることにつながります。

わたしたちも「これさえやればいいんですよ!」と回答したい気持ちはものすごくあります。残念ながら、人間関係の構築において、そうした「魔法」のようなものが存在しないことはみなさんもお気づきの通りだと思います。語学習得や健康維持と同じで、コツコツとした行動の積み重ねが、結局一番早道であることを認めざるを得ません。ただ、行動の積み重ねにより、加速度的に関係性が良好になることはよくあります。この瞬間は少し魔法に近いかもしれません。

あんぜんチームをつくるスキルは魔法!?

上司または部下のどちらか一方だけが頑張るのではなく、同じチームの一員としてお互いに理解し合おうと思う気持ちから「あんぜんチーム」は始まります。

やりがいのある、前向きにチャレンジできる、失敗から学びを議論しさらにチャレンジする組織にするために必要なものが心理的安全性のある関係性──あんぜんチームです。この本を手に取ったあなたの行動が、その実現につながります。

本書にあるような小さなアクションを積み重ねることで、良好な関係性を築くためのあなたなりのノウハウが生まれていきます。そしてそれは、あなた自身のスキルとなり、どこにいても、どんな組織でも使えるポータブルスキルになるとわたしたちは考えています。あなたがいることでチームの雰囲気がよくなり、生産性が上がるとしたら、それこそ魔法が使えるようなものです。これこそ、これからの時代の最強のスキルでしょう。

上司・部下のいずれの立場であっても、「自分がいるチームをあんぜんチームにするために何をすればいいのだろう?」と思っているビジネスパーソンにとって、助けになる1冊となることを願います。



2023年7月 なかむら アサミ/塩見 康史



書籍は、サイボウズ商店のほか、Amazonでもお求めいただけます

著者プロフィール

なかむらアサミ

チームワーク総研 シニアコンサルタント。様々な組織のチームワークを良くするためにチームの正しい定義を伝えています。