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引き継ぎの成功要因は文書化より「チームの協力関係」――3月は引き継ぎの季節、備えておきたい時間は「2週間」

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※ベストチーム・オブ・ザ・イヤーのサイトから移設しました

その年の「ベストチーム」を表彰し、日本のチームワークの向上と促進を提案するベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会(委員長:齋藤孝 明治大学教授、以下:実行委員会)は、若者のチームワークに関する調査の第9弾として、24~35歳のビジネスパーソン400人に「仕事の引き継ぎ」に関する調査を行いました。

2013年に引き続いて実施した今回の調査では、チームの状態と仕事の引き継ぎに焦点を当てました。その結果、引き継ぎがスムーズだった人の7割以上はチームの人間関係が「円滑である」、スムーズでなかった人の6割は「円滑ではない」と答えており、所属するチームの状態(人間関係や目標設定の有無等)が仕事の引き継ぎに影響を与えていることが明らかになりました。

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調査概要

調査対象 全国24歳~35歳の社会人男女400名
調査期間 2014年2月17日~18日
調査方法 インターネット調査

引き継ぎ期間は「2週間以内」が約7割
不満が多いのは「1週間以内」の引き継ぎ

引き継ぎの期間は「1週間以内」との回答が最も多くなりました【図1】。ただし、引き継ぎをスムーズに行えた人とそうでなかった人の期間には差異が見られ、引き継ぎをスムーズに終えた人は「2週間以内」と答えた人が最も多かったのに対し、スムーズでなかった人の6割は「1週間以内」または「それ以下の期間」の回答となりました。

【図1】 引き継ぎの期間(画像クリックで拡大します)

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引き継ぎは、"チームの人間関係"が浮き彫りに
引き継ぐ人や周囲の協力の有無が明暗を分ける

引き継ぎがスムーズだった人と、スムーズでなかった人にそれぞれ理由を尋ねた質問では、スムーズだった人が「メンバーの支援」や「誰が抜けても支障が無いよう常に情報共有していたため」といった、チームメンバーの協力や普段からの仕組みを回答した人が多い一方、スムーズでなかった人は「時間が無かった」「離任直前に担当になった」「上司のフォローがなかった」といった回答が上位に上がりました【図2-1、図2-2】。

【図2-1】 引き継ぎの成功理由

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【図2-2】 引き継ぎの失敗理由

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引き継ぎがスムーズだった人の7割以上は「チームの人間関係に満足している」と答えており、スムーズでなかった人の6割は「チームの人間関係に満足していない」と答えていました【図3】。

【図3】 引き継ぎとチームの人間関係

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なお、特徴として「目標が明確」で「一人ひとりの役割分担が明確」なチームほど、引き継ぎに成功している傾向が明確にあらわれました【図4】。

【図4】引き継ぎとチームの状態

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引き継ぎで一番大切なものは「引き継ぐ人との時間の確保」
マニュアルや文書化より重要な要素が明確に

引き継ぎにおいて"一番大切なもの"を尋ねた質問では、49.1%の人が「引き継ぐ人との十分な時間の確保」と回答しました。次いで「わかりやすい文書」「現在の仕事と引き継ぐ仕事とのバランス」と続いています【図5】。

引き継ぎに関して思うことを聞いた自由回答では、文書やマニュアルに対するコメントについては一定数あるものの、チームや部内のコミュニケーションにおけるコメントも多く、特に、引き継ぎがスムーズでなかった人ほど、チームやコミュニケーションに関するコメントが多く見られました【表1】。

【図5】 引き継ぎに一番必要なもの

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【表1】 引き継ぎに関する自由回答(例)

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まとめ

2013年の調査では「誰が読んでも分かる業務マニュアル」の必要性が明確に表れましたが、今回の調査では、文書やマニュアルについての必要性は変わらずあるものの、実際の引き継ぎには、日ごろからの情報共有や人間関係といったチームの体制や協力関係も大きく影響することが分かりました。

当調査では、当初、外資系企業と国内資企業で引き継ぎに関する差異が発生すると仮定し比較を試みましたが、引き継ぎ期間を含め、あらゆる設問において大きな差異は見られませんでした。

また「チーム」とは「目標が明確」で「一人ひとりの役割分担が明確」かつ「他チームとの境界が明瞭(役割が重複しない)」組織体のことを指しますが、まさにこれらの定義を満たしているチームほど引き継ぎに成功していることも明らかになりました。

チームワークの重要性は様々なところで言われますが、ビジネスパーソンに身近な「仕事の引き継ぎ」の場面においてもその重要性が浮き彫りになったといえます。 実行委員会では、今後もチームワークに関する調査を行い、発信してまいります。

ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会とは

職場での「チームワーク」向上を目的に2008年から活動を開始しました。毎年「いいチーム(11/26)の日」に、その年に顕著な業績を残した優れたチームを表彰するアワード「ベストチーム・オブ・ザ・イヤー」を開催しています。

これまでの最優秀賞には、小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトチーム(2010年)や京速コンピューター「京」開発チーム(2011年)、東武タワースカイツリー株式会社東京スカイツリー運営チーム(2012年)、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会(2013年)が受賞しています。

※「いいチームの日(11/26)」は、日本記念日協会認定の記念日です。

報道関係者からのお問い合わせ先

ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会 事務局 椋田(むくた)

〒112-0004 東京都文京区後楽 1-4-14 後楽森ビル12階

TEL: 03-6316-1160 / FAX: 03-5805-9036

メディア掲載

「仕事の引き継ぎに関する調査」、引き継ぎで一番大切なものは「十分な時間の確保」! [マイナビウーマン]

約半数が回答した「引き継ぎで一番大切なもの」 - 「マニュアル」は2位 [マイナビニュース]

仕事の引き継ぎに関する調査 [調査のチカラ]

photo credit: kevin dooley via photopin cc

著者プロフィール

ベストチーム・オブ・ザ・イヤー

ベストチーム・オブ・ザ・イヤーは、2008~2016年の間、最もチームワークを発揮し、顕著な実績を残したチームを、毎年「いいチーム(11/26)の日」に表彰したアワードです。